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アバンセ館長ルーム

 

アバンセは、幸せに生きたい県民の応援団です。男女共同参画社会づくりの促進の拠点であり、パートナー間などあらゆる暴力の撤廃の拠点、生涯学習の振興の拠点でもあります。

    館長の仕事は、そんな多様なアバンセの魅力を発信すること。その魅力とは、人との出会いで生まれるものです。この館長ルームでは、アバンセの職員紹介とともに、その折々の出来事を通して感じたことを綴っていきます。ときどき、ふっと道草したくなるような、自在なお気持ちで、館長ルームにお立ち寄りください。

 

最新のアバンセ館長コラム

第40号 令和7年8月「平和も自由も永遠ではない ~エンタメの力を入り口にして~

どんどんどんの森でせわしくセミが鳴いています。今年も夏到来です。8月15日の終戦記念日も近づいてきます。戦後80年目の夏。時代の振り子が、民主主義標榜期の終焉を迎え、再び、戦争の方向へ振り戻ってきているのではないかと危惧しています。私は、平穏が好きで、みんなの笑顔がエネルギーになります。私も機嫌よく笑顔でいたいと思います。ですが、だからこそ、その環境を壊そうとするものを看過してしまいたくないのです。


7月末、NHK連続テレビ小説「虎に翼」の脚本家吉田恵里香さんが佐賀市で講演をされました。吉田さんの言うように、変だな、同意できないなと思うことを言葉や態度で表現することが今の時代にますます必要になってきていると感じます。それは、じわじわと忍び寄ってくる、自分の意見を表明すると批判される、排斥される空気感の怖さ、その怖さゆえに匿名性の中で安全に暮らしたい願いとの裏返しでもあるのでしょう。そうした沈黙が繰り返されて戦争を防げなかったのではないか、あなたはどの立場にたつのですか?と未来の子どもたちから問われている気がしています。平和や自由は永遠ではないのだと私自身をはじめ周囲の大事な人々に伝えていきたいと思います。


映画や本や漫画などエンタメを入り口に考えるきっかけはいくつもあります。私の直近の経験から、今は、映画「黒川の女たち」、本「僕らは戦争を知らない」、漫画「隙間」をお勧めしたいです。どれも、勧善懲悪の単純な物語ではなく、登場する人物の価値観・正義感がせめぎあっています。現実社会は割り切れない、矛盾をはらんだ複雑な構造をしています。ただ、知らず知らずのうちに、社会的な強者は巧妙に大衆を誘導し、社会的な弱者同士が諍いを起こす構図が出来上がるのだなと気づかされます。


「虎に翼」の第1話のオープニングで日本国憲法第14条が映されましたが、遠くに感じていた法律が、このドラマを通じてより身近になりました。


法の下の平等 「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」


これが、ますます、ないがしろにされ始めていないでしょうか。一部の人の特別な話ではありません。今、この社会に生きている全員が当事者の話だと思います。終戦記念日を過ぎても、ずっと胸のなかに種火として燃やし続けておきたい意識をこのコラムにも綴りました。





 

アバンセ初代館長の船橋邦子さんと対談しました。

 下の画像をクリックするとYou Tubeに接続します。

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 アバンセ館長 田口香津子    プロフィール


 アバンセ館長

   佐賀女子短期大学 学長 (2018.4-2022.3)

 認定NPO法人 被害者支援ネットワーク佐賀VOISS理事長

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