アバンセ館長コラム第4号(令和4年7月)

第4号 3つのセンターが「共にあるということ」(令和4年7月)

アバンセのように、男女共同参画センターと生涯学習センターとが併設されているのは、都道府県で、佐賀県と山形県だけだそうです。他の県は、それぞれが独立した組織になっています。アバンセは、相談機能を持つDV総合対策センターも含め、三つのセンターが同じ建物で互いの仕事ぶりを身近に感じて事業を展開しています。「共にあること」こそ、他県にない強みです。いはば、距離のある一軒家のおつきあいではなく、気配を感じて助けあうシェアハウスです。

 

男女共同参画センター、DV総合対策センターとしてのアバンセは、男女共同参画社会形成の促進、その大きな柱として女性への暴力防止を目指しています。目的は明確ですが、社会のあらゆる場面において、ジェンダー平等へと社会を変えていくこと、その理解を世の中に広めていくことは容易ではありません。さらに今は、多様性の時代です。男女という二分法の固定的な考え方自体も乗り越えていかねばなりません。取り組むべきことは、行政の一つの独立した分野に収まらないのです。ジェンダー平等は社会に必須の課題でありながら、男女共同参画センターの多くが、社会全体に理解を広げる方法や手段に課題を抱えて模索しています。

一方、生涯学習センターとしてのアバンセは、生涯学習の振興を目指しています。何を学ぶかの内容は無限大であり、あらゆる年齢層と居住地域の人を対象に、学習方法や形態の多様さを保障し、人との交流を深め、人材を育て、社会をより良く変えていく取り組みを行っています。すべての市町、公民館を網羅し、毛細血管のように地域に根差した活動の基盤があり、そこにどれだけ生き生きとした血液を送り込めるかが課題です。その学びのテーマの最重要課題が、ジェンダー平等です。

 

 私は就任以来、挨拶や広報物に、「ひとつの学びが生き方を変え、世界を変える」というフレーズを繰り返し使っています。この言葉は、三つのセンター共通の理念でもあり、SDGsを意識したものでもあります。

SDGsを学んでいるうちに、目標4の生涯学習センターと目標5の男女共同参画センターとは、別個に独立したものでなく、分かちがたい関係であることが明確になりました。ジェンダー平等は、アバンセ全体にとっても、自分らしく生きられる、多様性のある社会づくりのために、必須の学びということです。

三つのセンターがシェアハウス状態のアバンセだからこそ、相互乗り入れが可能であり、目的達成に向けて相乗効果が期待できると思っています。

弱みを強みに変える逆転の発想で、アバンセは、「前進」していきます。

 
 アバンセ館長 田口香津子    プロフィール


 アバンセ館長

   佐賀女子短期大学 学長 (2018.4-2022.3)

 認定NPO法人 被害者支援ネットワーク佐賀VOISS理事長

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