令和7年度生涯学習関係職員研修(基礎編1)報告

佐賀県立生涯学習センターでは、生涯学習・社会教育関係職員を対象に、必要な知識や実践力を身につける「生涯学習関係職員研修」を行っています。

今年度は「社会教育の風向き ~人と人をつなぐ学びのこれから~」をテーマに、年間で全6回(基礎編、ステップアップ編、地域支援編 各2回)の講座を実施します。その様子をレポートします。


基礎編1 「生涯学習 社会教育入門 -これからはじめる わたしたちのあり方-」のチラシはこちら  (3739KB; PDFファイル)

生涯学習 社会教育入門 -これからはじめる わたしたちのあり方-

令和7年78日(火)1330分~1630

 わたしたちは”生涯学習”、”社会教育”という言葉の中で仕事をしているけれど「そもそも2つの違いがよくわからない…」そんな声を生涯学習や社会教育に関わる職員から伺うことがあります。

令和7年度、最初の生涯学習関係職員研修では、そんな職員が抱く疑問のアレコレや、仕事をする上で大切にしたいポイントなどを整理しながら学ぶ機会としました。

講師は、国立教育政策研究所の志々田まなみさん。

2つの違いについて、社会教育をとりまく昨今の課題や、国の施策的な観点を交えながら、楽しくお話しいただきました。

1部:生涯学習・社会教育とは

なにがちがう?

はじめに、受講者それぞれが、これまで経験してきた学習体験を整理するワークを行いました。”学び”といっても、方法は多種多様。自身の学びを振り返りながら、学校、社会、家庭、それぞれの教育の考え方について志々田さんのお話を通して整理していきました。

 

 

その中でも、この講座の参加者と関わりが深い社会教育は、主に目的や内容など学習者が求めるニーズに対応した教育を、体系的に考え行う教育のことを指します。

昨今では、人やモノ・コトとの偶然の出会いによって学びがはじまる”偶発的で体験的な学び”も広義の意味での社会教育としてとらえられています。

志々田さんは多様な人の学びに関わる職員が大事にしたい視点について「個人のニーズに応じた柔軟な学びの場をつくることや、学びを基盤とした支援が大切」と話されました。


「生涯学習」は理念

ところで、生涯学習に関わる職員は、仕事をする上で”生涯学習”、”社会教育”という言葉をいっしょに見かける機会が多いのですが、両者の違いについて「なかなか説明できない…」「よくわからない…」という声も多く聞かれます。

そこで志々田さんは、生涯学習とは「学校、家庭、社会教育、全部の学習をひっくるめて、人間の成長を支えていく上で重要な機会。全部を社会として等しく承認したり、評価したり、推進したり、支援したりしましょうという、あくまでも理念です」と強調しました。

この話に「なるほど!」と深く頷く参加者の姿が多くみられました。

 

 人の幸せをつくる仕事

 また、生涯学習に関わる職員の仕事は「“社会教育”という枠組みのなかで行っていく」ことが基本であると示しつつ、人口減少や単身世帯の増加が進む社会課題に触れ、公民館などの地域拠点が”居場所”として果たす役割が求められており「私たち職員が対話を通して、他部局や地域と連携し、“学びを通じた地域づくり”に貢献することが求められています」と横のつながりの重要性について述べられました。


 そして「社会教育は声の小さな人の意見を聞くことができる場。職員は対話を通じた相互理解や、自分らしさを生かす支援をする」ことが大切であると強調しつつ「とにかく楽しくないと社会教育じゃない。みんながちゃんと参画できるということを考えていく私たちの仕事は、人の幸せをつくろうとしているとても大事な仕事。そういう強みを持って、学びの支援をしていきましょう」と笑顔で締めくくりました。

この言葉に参加者の顔も、思わずゆるみました。


2部:私たちが大事にしたいこと(ワークショップ)

後半はカードを使ったワークです。

 

「挑戦」「コミュニケーション」「規律」といった多様な価値観が記載された94枚のカードをめくり、その中から自身が大切にしたい価値観を7つ選び、それぞれチームで紹介しました。

ワークでは参加者同士が「え~その価値観、捨てちゃうの!」「その価値観、わたしも大事にしてる!」など会話が大いに盛り上がりました。自身が大事にしている価値観を見つける時間はまさに「偶発的な学びの時間」となりました。


参加者の声 

アンケートより(一部抜粋)

  • 人を幸せにできる。市役所では数少ない仕事ができてよかったと思いました。貴重な職場を大切に過ごしていきたいと思いました。
  • 社会全体で活動していく必要があることが理解できました。
  • 違いや内容を知ることができた。この講座を通して、市の事業を間接的に評価したり、内容を考えたりしたいと思った。
  • 社会教育について難しく考えていたけど、楽しくて良いんだと思いました。

  • まずはこちらが楽しもうと思った。
  • 基礎から学ぶことができてよかったです。「生涯学習」と「社会教育」の違いすら分からずに社会教育を語っていたことに、反省させられました。「学ぶことの楽しさ」を改めて感じました。
  • 生涯学習ってとってもざくっとして説明しがたいけれど、「一生学び」ってことよと話してました。”理念”なるほど。腹落ちです。

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