令和6年度生涯学習関係職員実践講座(地域支援編2)報告
佐賀県立生涯学習センターでは、生涯学習・社会教育関係職員を対象に、必要な知識や実践力を身につける「生涯学習関係職員実践講座」を行っています。今年度は「学び直しと意識のアップデート」のテーマのもと、年間で全6回(基礎編、ステップアップ編、地域支援編 各2回)の講座を実施しました。
地域支援編2 「つなぐチカラ つながるチカラ ~持続可能な地域づくり人づくり~」のチラシはこちら (2291KB; PDFファイル)
つなぐチカラ つながるチカラ ~持続可能な地域づくり人づくり~
令和7年3月7日(金)13時30分~16時30分
令和6年度最後となる関係職員実践講座は「つなぐ・つながる」をテーマに、持続可能な地域づくり・人づくりを考える講座を開催しました。また、地域交流に役立つ手法を学びながら、参加する職員同士もつながろうと、パン作りにもチャレンジ!盛り沢山の内容で行った講座の様子をご覧ください。
講師は島根県益田市のNPO法人おむすびから、理事長の大畑伸幸さん(写真左)と、事務局長の岩坂菜月さん(写真右)にお越しいただきました。
1部:つなぐ・つながることでできること ~持続可能な地域づくりをめざして~
1.学校教育と社会教育の違いって?対話してみよう!
「社会教育と学校教育の違いって何だと思いますか?」と大畑さん。この問いに、集まった皆さんで早速対話の時間を持ちました。大畑さんは「対話はスキル」と話し、そのコツを伝授。対話をするうちに会場は笑い声があふれ、早くも和やかな雰囲気に。
2.パン生地づくり お腹で育てる!?
場が温まったところで、まずはパン生地作りです。「社会教育プログラムなのでレシピはなし!」と大畑さん。「え?一体どうやって!?」と、はじめは頭に“はてな”マークの皆さんでしたが「ほら、だんだんと生地がひとつのダマになってきてるでしょう?こんな感じ」と大畑さんから目標を見せられると「あそこまでやったらいいんだ」とやる気スイッチがオンに。気づけば皆さん笑顔で生地を振って、こねて、夢中になって取り組まれていました。大畑さんは地域で活動するときも、このように学習者の“学びたい!やってみたい!”という気持ちを引き出すことを意識しているとのこと。社会教育プログラムの大切なポイントも学びながらのパン作りです。
生地が出来たら、発酵には体温が最適温度ということで、なんとお腹で温めることに。パン生地を服の中に忍ばせる皆さん。誰からともなく「うちの子」とお腹の生地を呼び合うようになりました。
3.つなぐチカラ&つながるチカラ ~島根県益田市にみる「持続可能」な地域づくり人づくり
うちの子(パン生地)をお腹で温めながら、今度は部屋を移動して、益田市の取組みから学ぶ時間を持ちました。
かつて消滅可能性都市に選ばれた益田市では「益田にはなにもない」と答える子どもたちの声に危機感を感じ、持続可能な地域づくりを目指して人づくりに力を注いでこられました。
「人づくりの根幹は人がつながること」と大畑さん。学校で「カタリ場」という大人と子どもの対話の場をつくり、さらに地域でも、多世代がつながる活動や取組みを広げていかれたそうです。安心して話せる関係性が地域の中にできたことで、だんだんと子どもたちも「これがやりたい!」と主体的に発言するように。こうなると、子どもはもちろん、大人たちも地域の活動が楽しくなってきますね。
「ポイントは対話を通してつながること。そして何かやりたい!となったときに、一緒にやってくれる意味ある他者がいること」と大畑さん。子どもが多様なロールモデルと出会える、地域に育ちの場・学びの場が広がり、市民活動の参画者が増えていく、こうして人づくりの好循環を生んでいるとの話に、参加者の皆さんも引き込まれるように耳を傾けていました。
そして、岩坂さんからも「やってみたい」を実現した取組みを紹介していただきました。「最初は人がいなくてどきどきしたよね」「このとき、子どもたちが“自分でやった”と自慢気だったね」など、当時の様子が見えてくるような講師お2人による体験話の掛け合いも楽しく、気づきと学びの多い時間となりました。
2部:やってみよう!ぐるぐるパンづくり ~私たちもつながってこ~
お話しを聞いている間に、気づけばお腹で大きく膨らんでいるうちの子(パン生地)たち。再度調理室に移動し、成型と焼き上げを行いました。この日はシナモンとチョコをぐるぐる巻いて、シナモンチョコパンを作りました。あちらこちらから聞こえてくる「できた!」の声。
「ぜひ周りの人ともシェアしてください。美味しいとか、同じ材料なのになんで違うんだろうとか、感想を言い合うのも楽しいですよね。地域で行うときも、ぜひシェアする体験を」と大畑さん。パン作りを通して、様々な地域活動のヒントをいただきました。
最後に大畑さんから「人づくり・地域づくりは難しいように見えるけどシンプル。人がつながってなかったら、つなげましょう!つなぐときには対話がいいですよ。そしてそれがいろんなところに波及して、持続可能な地域づくりになります」と、まとめの言葉をいただき、作って、学んで、つながる楽しい講座を終了しました。
参加者の声
アンケートより(一部抜粋)
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まちづくりの講座企画などで悩むことが多かったが、呼びかけて参加者を増やすことに注力するより、参加してくれる方が話せる場や、話しやすい環境をつくることの大切さを学ぶことができました。我が町でもまちづくりの主体者となる人が生まれるよう工夫していきたいです。
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場、内容等、変化を楽しめる良い講座。対話の大切さを改めて感じ、実践していきたいと思いました。
- 地域づくりへの今後の取り組みとして参考になる話でとてもよかった。
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ただ作るだけ、ただ聞くだけでなく、どちらもやりつつ、かつ対話があったことで、グループの方とも気軽に話すことができ、すごく楽しい講座でした。
- お腹で温めて育てるのがとても楽しくて、一体感があった。お話のなかの学校でつながり、地域に連れ出し、みんなでつくっていくという構図がなるほどとなりました。
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今日の大畑さんのお話、経験や市民活動の研修を身をもって経験して、吸収して、今後、業務に活かそうと思いました。
- いつも同じメンバーで集まりがちなまちづくりの会議ですが、もっと広い世代に呼びかけていきたいと思いました。