令和6年度 家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第5回報告

多様化する社会で大切にしたい親子への支援 

リーダー研修は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数が3年以上の方を対象とした連続5回講座です。

今年も県内各地の様々なフィールドで家庭教育や子育て支援の活動をされている皆さんが集まりました。

今年の講座では、少し視点を広げて『多様化する社会』をキーワードに、今まであまり取り上げてこなかった『ジェンダー』『父親支援』などもテーマにしています。

様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、「多様化する社会で大切にしたい親子への支援」について一緒に考えていきました。

R6家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修)チラシ (811KB; PDFファイル)

第5回 よりよい支援のために~支援者のセルフケアとともに~

【開催日時】令和7年2月20日(木)13時15分~16時30分

【講師】宮﨑久美子さん(公認心理師)

【コーディネーター】山口ひろみさん(NPO法人唐津市子育て支援情報センター センター長)

講義&ワークショップ

最終回は公認心理師の宮﨑久美子さんを講師にお迎えしました。

宮﨑さんは夫婦で乗馬クラブ(唐津市)を経営しながら、公認心理師として個人カウンセリングや心理学講座、職員研修、講演会などの活動をされています。4人のお子さんを育てる中で、自身の対人恐怖や子どもの不登校、夫婦関係など様々なことに悩み、心理学を学び始めたそうです。

コーディネーターの山口さんとは古くからのご友人で、息ぴったりな掛け合いのもと講座がスタートしました。

コーディネーターの山口さんと講師の宮﨑さん

写真左)山口ひろみさん 右)宮﨑久美子さん

はじめに宮﨑さんは「私が一番大事にしていることが今回のテーマ『セルフケア』と『感情』です。私自身、この感情について学び人生が好転していきました。今日は、まずご自身のために聞いていただき、支援に活かしていただければと思います」と講義を始められました。

4つの基本感情

心理学は100種類以上の種類があり、いろんな解釈がそれぞれにあるそうですが、今回は「交流分析」の4つの基本感情について教えてくださいました。まずは、4つの基本感情「喜び、悲しみ、怖い(恐れ)、怒り」について、どんなイメージかをグループで話して共有しました。

グループワークの様子グループワークの発表

生まれたばかりの赤ちゃんが持つ感覚は「快・不快」の二つ。育っていく環境の中で、感情は育まれていきます。なので、人によって4つの感情のイメージも違っていて当たり前。それに気づくことが大事なのです。

また、交流分析では感情にはそれぞれ「役割と性質」があるとされているそうです。

例えば喜びの役割は、幸せを感じるため。性質としては自分の内側でも感じ、外の誰かに共有することで増えていくといわれています。

それを体感するワーク「ほめほめシャワー」を行いました。自分が言われて嬉しい言葉をグループの人に同時にシャワーのように1分間言い続けてもらいます。ほめられる人は「ありがとう」と言って受け取ることがルールです。「ほめられる時、ほめる時の身体の感覚や感情を感じながら行ってください」とスタートしました。

ほめほめシャワーの様子言われて嬉しい言葉

終了後は皆さん笑顔で体がポカポカ。これは幸せホルモンがたくさん出ているため。内側で幸せを感じ、外の人にも『ありがとう』と言うことで、幸せの循環が起きているのだそうです。

また、小さい頃からほめられたり認めてもらう経験が多い人は「ありがとう」と受け取るのも上手で、逆に少ない人は受け取るのが苦手と感じ、この1分が長いと感じがち。これが良い悪いではなく、今の自分がこういう感覚なんだと気づくことが大切だとおっしゃいました。

 

講師の宮﨑さん4つの基本感情の役割と性質について、それぞれ詳しくお話しいただいたあとは、全部に共通する感情の特徴を教えていただきました。それは感情は本当の役割で、ちゃんと感じたら消化してなくなるということ。

ですが、消化できない感情は、自分の心のグラスの中に圧縮冷凍して入っていきます。例えば、本当は「悲しい」のに本当の感情に蓋をして、偽物の「怒り」の感情で重しをのせると、本当の感情はずっと消化できないから、ずっとイライラもやもやしてしまう。そして、気づかない間にグラスがいっぱいになり、ある時突然あふれ出してしまう。相談にいらっしゃる方には、この状態の方が多く、カウンセリングをしていく中で本物の感情を消化するお手伝いをしていくのだそうです。

 

感情は一時的に偽物の感情でごまかしたりできるけれど、そんなごまかしが効かないのが「身体の感覚」。それを体感するワークをペアになって行い、感じたことや気づいたことをシェアしました。

身体の感覚を体感するワークの様子身体の感覚を体感するワークの様子

身体はとても正直で、心では大丈夫だと思っていても起きれなくなったり、眠れなかったり、動けなくなったりします。自分の身体の感覚を大切にし、何かサインが出ているときは、休んだり、立ち止まってみて、身体の声を聴くセルフケアを大事にしてくださいとおっしゃいました。

 

コーディネーターの山口さんは「今日のお話の中で、支援者側として色々な気づきや学びがあったと思います。また、私たち支援者側として子育て中の方々に伝えるだけでなく、支援する側としてもセルフケアが必要で大切ですね」とおっしゃいました。

連続講座の学びの共有

最後は、この連続講座での学びや気づき感想などを全員に発表してもらいました。

 

皆さんの声を受け、山口さんと宮﨑さんは「支援をする中で一人で抱え込まずに、周りに相談したり、助けを求めたり、関係機関につなぐ『伝える力』を身につけ『やれることから』はじめてください。そして『正しく』ではなく『楽しむ』気持ちを大事に活動につなげてください」と受講者の皆さんへメッセージを贈られました。

閉講式

リーダー研修では全日程(連続5回)受講された方に修了証を交付しています。今年度は12名に交付しました。

田口館長は「ほめほめシャワーで心を満たされ、暖かい手で背中に触れられ、セルフケアを実感できましたね。言葉にできませんが、この喜びを表したく歌います」と皆さんへ歌のプレゼント♪会場は暖かい空気に包まれながら全5回の講座が終了しました。

受講いただいた皆さん、ありがとうございました。これからの活動を応援しています。

閉講式の様子受講者へ歌を贈る田口館長

受講者の感想(アンケートより抜粋)
  • 子育て支援に関わる仕事をしていて利用者の方、関わる親子の心について考える機会は沢山ありますが、セルフケアが中々できていないことに気づきました。自分の心を大切に、周りの人の心、関わる人の心も大切にしていきたいなあと思いました。そんな風に思える、心のほっとするお話をありがとうございました。
  • 人から怒りの感情をぶつけられると、どうしていいのかパニックになることがあるけれど、怒りを怒りのまま受けとるのではなく、怒りの感情の底に感情があるということを知れて、心が軽くなった気がしました。こんなに心が温かくなる講座をありがとうございました。
  • 同僚の存在をとてもありがたく感じることができました。私のセルフケアになくてはならない人達だと気づくことができました。5回の講座を通して、改めて、仲間、チームとしての活動に生かしていきたいと思いました。ありがとうございました。
  • 感情について体験できて、自分にもこんな感情があり、どうセルフケアした方が良いのか、セルフケアの大切さを考える良い講座となりました。ありがとうございました。

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