令和5年度 課題解決支援講座(小城市)を開催しました

【課題解決支援講座について】

佐賀県立生涯学習センターでは、市町、公民館等との共同企画で、地域課題の解決に向けて取り組む講座を開催しています。《令和5年度は佐賀市、小城市の2地域と共催》


小城市は、小城市教育委員会生涯学習課×牛津公民館との共催で

「ゆるっとつながる♪ デイキャンプ in 牛津 ~みんなで話・和・輪♪~」を開催しました。


講座チラシはコチラ (538KB; PDFファイル)

講座名「ゆるっとつながる♪ デイキャンプ in 牛津 ~みんなで話・和・輪♪~

牛津町は「子どもたちのために」という思いのもと、住民が結びつき、地域ぐるみで子どもたちを育てようという風土のある地域です。また、子どもに関わる団体や組織のネットワークによる活動も長年行われてきました。しかし近年、地域団体の後継者不足やメンバーの高齢化、地域行事等への住民の関心の低下などにより、これから先、地域の活力やつながりが失われていくことが懸念されています。

そこで、交流と対話の場を通して住民の関係性づくり、仲間づくりを促し、地域活動の楽しさや大切さを感じてもらうことで、将来的に地域活動やまちづくりに関わるきっかけとなることを目指して講座を開催しました。

また、今回は特に、保護者世代に参加していただけるように「デイキャンプ」をテーマにし、親子でチャレンジできる体験活動を盛り込んだ内容で実施することとなりました。


講師は、百武博文さん(佐賀県キャンプ協会 理事長)です。

元小学校教諭であり、子どもの生活体験や野外体験キャンプのプログラムの運営・指導に長年携わられている専門家として、牛津公民館での取組みの指導をしていただきました。


第1回 「ゆるっと♪ デイキャンプ オープン! ~みんなでわいわいプランづくり~

 【日時】令和5年 10月19日(木)19時~20時30分  【講師】百武 博文 さん(佐賀県キャンプ協会 理事長)

講義「地域の子どもたちのために私たちができること」

第1回は「ゆるっと♪デイキャンプ オープン!」と題して開催。会場の公民館ホールには、地域団体で活動されている方や、親子で参加された保護者の方など、20名程の方が集まりました。

はじめに、講師の百武さんから「地域の子どもたちのために私たちができること」というテーマでお話しいただきました。

講義 講師


百武さんは、今時の子どもたちを取り巻く状況、とくに「3間(時間・空間・仲間)」が無くなり、遊びや人と関わる体験の機会が減ったことによる子どもたちの育ちへの影響が大きいことを取り上げられ、「失敗しても、試行錯誤しながら体験を積むことが、子ども自身の成長と生きる力につながる」と、体験活動によって子どもの社会性が育まれ、人や物事との関係性が豊かになることを、実際に学校現場で触れ合ってきた子どもたちの変容ぶりを交えながら伝えられました。

そして、子どもたちには体験の質(学び)と量(時間)が必要であることを踏まえ「安心して遊べる場やチャレンジできる場が地域にあれば、その体験は子どもたちの記憶に残り、地域に対する愛着もできる。それが次の未来につながっていくはず。私たち大人ができることを考えて、やってみましょう」と呼びかけられました。

アクティビティ&グループワーク

講義のあとは、遊びのゲームのアクティビティを行いました。

じゃんけんをして勝ったら相手のお金(持ち札)をもらえるというルールで、4チームの対抗戦。子どもも大人も一緒に協力して盛り上がりました。

アクティビティ アクティビティ


最後に、次回のデイキャンプでの係に分かれて自己紹介タイム。受付や調理、キャンプテントなどのグループで、当日の役割内容を共有しました。

また、講義の感想や「地域で気になっていること」などのテーマで意見を交わしました。短い時間でしたが、皆さんが普段感じていることを直接聞くことのできた貴重な時間となりました。

グループワーク グループワーク

参加者の感想
  • ”体験から学ぶ”この機会が乏しい今、子どもをどう育てていくのか?悩みの真っ只中に、目からウロコのお話を聞かせていただき、感動しました。
  • 人や物との関係性によって、同じ事をしても感じ方も学べる事も変わってくるということは興味深かったです。
  • 自分たちの活動にも通じる内容でとても興味深く、もっと学びたいと思いました。


第2回 「ゆるっと♪ 秋デイキャンプ ~かまどベンチでつくってみた!~

【日時】令和5年 11月25日(土)14時~17時  【講師】百武 博文 さん(佐賀県キャンプ協会 理事長)


第2回は、公民館の隣にある芝生広場を会場に『秋デイキャンプ』を開催。

今回は芝生広場に設置されている「かまどベンチ」を活用し、キャンプ体験のアクティビティにチャレンジ。親子での参加者も多く、にぎやかな雰囲気の中でスタートしました。

デイキャンプ かまどベンチ

▲小学生が作ってくれたウェルカムボード     ▲かまどベンチを「かまど」に組み立てて使用

パッククッキング  ~ハイゼックス炊飯袋で炊きこみごはん作り~

「かまどベンチ」を使用して大鍋でお湯を沸かし、ハイゼックス炊飯袋に仕込んだお米を茹でて炊きこみごはんを作りました。できあがった後は試食。美味しいと好評で「家でも応用して作れそう」「災害時の備えとして他の人とも共有したい」などの声が聞かれました。

パッククッキング パッククッキング パッククッキング

キャンプテント設営体験

3グループに分かれてテント設営にチャレンジ。初めての方がほとんどでしたが、子どもたちも楽しそうに一緒にたてることができました。

キャンプテント キャンプテント

くん製作り

ゆでたまご、ウィンナー、チーズ、ミックスナッツのくん製を作りました。中華鍋をボウルで代用したり、蓋も手作りできるなど「思っていたよりも簡単にできた」との感想が聞かれました。

くん製作り くん製作り

活動のふり返りタイム

体験してみての感想や気づきなどをグループで共有しました。子ども、大人のそれぞれの視点での感想をたくさん聞くことができました。

ふり返り ふり返り

参加者の感想
  • テントをたてたり、くん製を作ったり、初めての体験ができて楽しかった。
  • かまどベンチを初めて見ました。災害時についての学びを深めたいと思った。
  • くん製作りは、チームの皆さんと話しながら出来上がりを待つ時間が楽しかった。
  • 初めて知り合った子どもや大人の方と遊んだり話したりできて良かった。

※公民館が行う事業として、「かまどベンチ」の使用許可の確認を取って実施しました。


第3回 「ゆるっと♪ 冬デイキャンプ  ~たき火を囲んで食べてみた!~

 【日時】令和6年 1月21日(日)10時~13時  【講師】百武 博文 さん(佐賀県キャンプ協会 理事長)  


第3回も芝生広場を会場に『冬デイキャンプ』を開催。

今回は「たき火」をテーマに、焼いて食べたり、お手軽キャンプ飯を楽しむ体験活動です。風が冷たい冬空の下、アクシデントにも負けず、協力して取り組む参加者の皆さんの姿が見られました。

デイキャンプ デイキャンプ

▲一斗缶のたき火台(講師の百武さん手作り)   ▲たき火づくりのデモンストレーション

牛乳パックでホットドックづくり

具材を挟んだパンをアルミホイルで包み、牛乳パックに入れて焼くと、焼き目のついたホットドックのできあがり。風が強いせいで火力が弱まると「アルミホイルのまま、もう一回焼いてみよう」と工夫する様子が見られました。

ホットドックづくり ホットドックづくり ホットドックづくり

串焼き体験

マシュマロや各自で持参した「焼きたいもの」を串にさして焼きました。火を囲んで「焼けた!」とワイワイ盛り上がりました。

串焼き体験 串焼き体験 串焼き体験

活動のふり返り&グループトーク

公民館ホールに移動して、外での活動のふり返りを行い、感想を聞き合いました。また「自分の趣味・特技」や「地域や家族でやれたらいいなと思うこと」をテーマに一人ひとりの意見を出し合い、グループで共有しました。

ふり返り ふり返り


最後に、百武さんより「子どもたちがやりたいことだったり、皆さんのいろいろな特技を聞いて、地域で触れあう交流の機会や地域の人たちが活躍できる場をつくっていくことが、私たち大人の役割だと一層感じました。私自身も、牛津の人とつながって面白いことができたらいいなと思っています」と話され、「一緒にワクワクすることにチャレンジしていきましょう」というメッセージをいただきました。

参加者の感想
  • ひとつの火を囲んで初めましての方とコミュニケーションがとれた。
  • ふだん体験できないことができて良かった。チームでのワークショップも楽しい!
  • 知らない世代の方と関われたことがよかった。
  • 子どもたちの前向きな姿、積極的に意見を出す姿など、希望がみえる体験だった。


第4回 「ゆるっと♪ つながる  みんなで話・和・輪! ~えんたくんで語ってみた!~

【日時】令和6年 2月10日(土)10時~12時  【講師】百武 博文 さん(佐賀県キャンプ協会 理事長)


最終回はこれまでの講座をふり返り、体験したことを踏まえて地域のこれからのことを語り合う回です。

アイスブレイク

まずはアイスブレイク。子どもも大人もごちゃまぜでチームになり、缶を集めるためにダッシュしたり、他チームの陣地に取りに行ったりと、チームワークが試されるゲームでした。走って声を出すうちに体も心もほぐれて、会場の雰囲気もあたたまりました。

アイスブレイク アイスブレイク

ワークショップ 「わくわく妄想会議♪『牛公へ行こう!』」

続いて、今回のメインである話し合いのワークショップ。ここで「えんたくん」という円卓型のボードが登場!これを膝に乗せて座ると、お互いの距離も自然と近まります。

話し合うテーマは『牛津公民館で、自分たちのできることを活かして、楽しく、人とのつながりができることを考えよう!』です。前回のグループワークで出た意見も参考にしながら「やってみたい!」という気持ちを大事に、グループでアイデアを出し合いました。

グループワーク グループワーク グループワーク


「えんたくん」の上には、様々なアイデアが書かれた付せんがたくさん貼り出されました。その中から、グループの「イチオシ」のものを選んで、桜の花びらのパーツに書いて発表してもらいました。

どのグループのアイデアも、妄想を超えて現実レベルでワクワクするようなものばかりで「地域で実際にやってみたい」「牛津の人とのつながりができたらいいな」という皆さんの思いが込められていました。

グループ発表 グループ発表 グループ発表 


【各グループの「イチオシ」アイデア♪】

①『防災まちたんけん&キャンプ+カフェ』

 (防災の視点でまちあるきをしてキャンプでカフェ♪ みんなでコーヒーを飲みたいな♪)

➁『宿泊キャンプで親子塾 ~まなびとあそびでHappy Life~』

 (子ども、大人、親子向けワークショップや、子どもの職業体験ができたらいいな♪)

➂『なんでもゲーム大会 ~百人一首大会・eスポーツ大会・ボードゲームナイト・オープンなゲームスペース~

 (高校生や高齢者の方も参加できるゲーム大会♪ すぐにでもやれたらいいな!)


最後に、百武さんより「いろいろな立場の人同士で、それぞれの思いや考えを出しあったり、一緒に何かやってみたりしてきた中で、皆で協力したらできることがいろいろあるんじゃないかという気づきがあったのではないでしょうか。小さなことでも取り組んでみたら、それが大きな動きとなって、牛津のためにきっとつながるはずです。この講座でできたつながりや仲間の「WA」を大事に、「話・和・輪」を合い言葉にしてやってみましょう!」と皆さんの背中をおす激励のエールが送られました。

参加者の感想
  • 子どもとも大人の方とも安心して話すことができてワクワクしました。
  • 様々な思いを言葉で表現し、伝えるという場があって良かった。”話せる場”は必要ですね。
  • たくさんの地域の方と仲良くなれました。
  • いろいろなつながりができて、なにか新しいことが始まりそうな予感♡です。


講座を終えて

講座を終えて、スタッフと講師の百武さんを交えてのふり返りを行いました。

  • 芝生広場でも十分にアウトドアの雰囲気が感じられた。牛津公民館に芝生広場があることは素晴らしい。
  • グループで協力すると仲が深まる。ワークショップでは、知らない人同士でもいろいろな意見を出し合い、聞くことができていた。
  • 知識は体験を通して分かることがあり、体験活動をやってみることは、子どもにも大人にとっても大切。
  • 地域にはこんなにいろいろなことをしている方がいるんだという発見があった。
  • 今回の講座でつながりができた人たちと、アイデアの実現に向けてできることから取り組めたらと思う。
  • 公民館の事業やイベントなどで、参加者同士の交流や知り合うきっかけとなるお手伝いをしていきたい。
  • これからも住民の方とよりよい関係性作りを行い、いろいろな人を巻き込んでいかないといけないと再認識した。

などの意見を交わしました。


6月から小城市生涯学習課、牛津公民館、アバンセ担当者で企画会議を重ね、百武さんのアドバイスもいただきながら、試行錯誤の道のりで講座を実施しました。

4回の講座を通して、地域の方が考えていることややりたいことなどのニーズを見える化でき、牛津の「人・もの・コト」の新発見・再発見になりました。講座に参加した方が、公民館事業の講師として関わられたり、地域団体の活動に入りたいと興味を持たれたという動きもあっているそうです。これからも、牛津の人たちの「WA」が「話・和・輪」でつながっていくことを期待しています。


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