令和4年度生涯学習関係職員実践講座(地域支援編2)報告
佐賀県立生涯学習センターでは、生涯学習・社会教育関係職員に必要な知識や実践力を身につける「生涯学習関係職員実践講座」(基礎編、ステップアップ編、地域支援編)を行っています。
今年度は初の試みとして「課題解決支援おうえんBOOK(※1)活用編」「ICTを活用した新たな学びの在り方を考える編(※2)」の2つの連続性を持たせたテーマで実施!その様子をご紹介します!
- (※1)課題解決支援おうえんBOOKとは…市町、公民館等、佐賀県立生涯学習センター(アバンセ)の3者協働で地域の課題解決に取り組んでいる「課題解決支援講座」の10年間、31地域の試行錯誤をぎゅっとまとめた冊子。令和4年3月発刊
- (※2)ICTを活用した新たな学びの在り方を考える編…基礎編(2)、ステップアップ編(2)は、佐賀市地域振興部公民館支援課との共催で、佐賀市立春日公民館を会場に開催しました。地域支援編(2)は佐賀市と唐津市教育委員会との共催で4つの公民館とアバンセ、5つの会場をつないで開催しました。
地域支援編2 ICTを活用した新たな学びの在り方を考える編
「地域」と「地域」ぐるっとつなぐ公民館職員によるサテライト会場設営体験講座 令和5年3月10日(金)13時15分~16時30分
チラシはこちら (831KB; PDFファイル)
コロナ禍においてオンラインを活用した取組みが広がり、コロナ収束後においても教育や暮らし等、これまで以上に様々な場面でのICT活用が予想されます。そこで、公民館等の社会教育施設においても、職員自身が機材の接続等、運営のスキルを高め、オンラインを活用した講座の企画づくりにつながる学びを体験する講座に取り組みました。
今回は、佐賀市、唐津市、それぞれ2つの公民館(※)と佐賀県立生涯学習センター(アバンセ)、5会場をつなぐサテライト方式での開催です。前半は各サテライト会場(公民館)に参加した公民館等職員が、自分達でオンラインの機材をつなぎ、会場設営のスキルを身につける体験講座。後半は住民向けに想定したオンライン講座を公民館等職員が模擬体験し、サテライト受講の仕組みを理解する内容です。
サテライト会場設営指導は、佐賀県立生涯学習センター(アバンセ)のスタッフで担当しました。さらに、ICT関係に詳しい『特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構』のスタッフの方々にも、会場でのオンライントラブルや質問対応等の運営サポートに入っていただきました。
※サテライト会場…佐賀市立新栄公民館、佐賀市立久保田公民館、唐津市大成公民館、唐津市浜玉公民館
【佐賀市立新栄公民館】
佐賀市立新栄公民館にメイン会場とサテライト会場を設置。
会場後方からアナウンスを行い、各会場の参加者はスクリー
ンで受講。
【佐賀市立久保田公民館】
サテライト会場の久保田公民館担当のアバンセスタッフが、スク
リーン画面コントロール(Zoom操作)を行う。
(講座開始前の様子)
【唐津市大成公民館】
サテライト会場設営体験に準備された講座開始前の会場の様子。
【唐津市浜玉公民館】
サテライト会場でスクリーンを見ながら受講する参加者。
「どのようにつなぐ?を体験 サテライト会場設営 やってみた!」
はじめに、スクリーン画面を切り替えながら各会場の紹介を行いました。それぞれの会場スタッフと参加者の様子を映し出しながらの画面交流です。
同時に映像と音声のつながりをチェックした後は、講座の目的と機材の紹介、そしてつなぎ方の手順を一通り全体で共有し、各会場でのサテライト会場設営体験に入りました。
【佐賀市立新栄公民館会場】
【佐賀市立久保田公民館会場】
【唐津市大成公民館会場】
【唐津市浜玉公民館会場】
一つひとつ機材を確認しながら、一通りつなぎ方を把握した参加者のみなさん。「今度はZoomの操作を学びたい」「地域の高齢者にどのようにオンライン講座を伝えたらいいか考えないといけない」など、次のステップを見据える声も会場から聞こえていました。
また、前半の設営体験の最後に、オンライン接続で一番のポイントとなる『音声のつなぎ方』について、佐賀県CSO推進機構の秋山翔太郎さんよりワンポイントアドバイスをいただきました。
オンライン講座の指導や運営サポート経験が豊富な秋山さん(写
真左)は、これまでの体験を基に、写真やイラストを用いた資料
を使って説明をされました。
また、それぞれの会場毎に機材の違いがあるため、必ず事前テス
トを行い必要な機材を準備することや、用意しておけば便利な機
材の紹介も含めてお話をいただきました。
「サテライト受講どんな感じ?を体験 折り紙講座&健康体操 受けてみた」
後半は、住民向けに講座を提供している公民館等職員が、住民の立場に立ってオンライン講座を受講する模擬体験の時間です。講座のメニューは『折り紙』と『健康体操』の2つ。各講師にはメイン会場の佐賀市立新栄公民館からオンラインで指導をしていただきました。
初めに『折り紙講座』からスタートです。
【講師】青栁 伊都子さん(日本折り紙協会佐賀支部長)
講師の青栁さんは、コロナ禍において、いち早くオンライン講
座のやり方を学ばれ、幅広い世代の方に折り紙講座を提供され
ています。今回の講座でも公民館職員のみなさんに楽しんでも
らいたいとの思いを込めて、季節を先取りした『こいのぼり』
を題材に指導していただきました。
(写真左)
佐賀市立久保田公民館
(写真右)
唐津市浜玉公民館
スクリーンに映る講師の手元を確認しながら、こいのぼりを折っていきました。青栁さんはわかりやすいようにと細い棒を使い、折り紙の折り筋を指し示しながら「ここに折り筋があります。わかりますか」と呼びかけたり、「もう一回、折ってみましょう」と手元カメラを使って、繰り返し折り方を見せながら進められました。大きい画面で手元を確認できるオンラインでの折り紙講座は、とてもわかりやすい印象を受けました。短い時間でしたが、かわいいこいのぼりを折ることができました!
(写真左)
唐津市大成公民館
(写真右)
佐賀市立新栄公民館
続いて『健康体操』です。
【講師】山岡 弘美さん(健康運動指導士)
講師の山岡さんは、みやき町健康教室で各地域の公民館を巡回
しながら、健康づくりにつながる運動を指導されています。た
くさんの体操メニューをお持ちで、依頼者の要望に応じた内容
で講座を展開されています。今回のオンライン体験講座では椅
子を使った体操を指導していただきました。
(写真左)
佐賀市立新栄公民館
(写真右)
唐津市大成公民館
初めに手指の運動からスタート。簡単な動きから、右手左手を同時に違う方向に動かしたりと体だけでなく頭を使い、脳にも刺激を与える体操から始まりました。足指でのじゃんけん運動体操では、画面に映る山岡さんの足が、手のようにグー、チョキ、パーと動き、みなさん驚かれていました。講師の山岡さんは高齢者向けに指導されることが多く、そうした経験を活かし、わかりやすい言葉や動きで、時には笑いを誘いながら楽しい健康体操を提供されました。オンラインでの健康体操もしっかり体験することができました。
(写真左)
佐賀市立久保田公民館
(写真右)
唐津市浜玉公民館
職員自身が受講者としてオンライン講座を体験したことで、サテライト会場での受講の雰囲気等をつかめたのではないでしょうか。これからの企画づくりに活かしていただければと思います。
最後に、アバンセ会場から4会場の講座の様子を見守っていた、佐賀県立生涯学習センターの関事業部長(写真左)と佐賀県まなび課高野主任主査(写真右)からコメントをいただきました。
関生涯事業部長は、これまで社会教育が培ってきた対面でのつながりづくりとICTを組合せることができれば、さらに豊かな学びにつながると話し「地域住民のデジタルデバイト(情報格差)解消は、やってみようというみなさんのチャレンジにかかっています」とエールを送りました。また、高野主任主査からは、県まなび課でオンライン関係機材を整備し、各市町の公民館等への貸出についても検討していることを紹介され「整備できた暁にはぜひ利用して、オンライン講座に取組んで欲しい」と呼びかけられました。
ICTの利活用は難しいから、苦手だからやらないではなく、折りにふれてチャレンジしていく気持ちが大切ということを、今回の講座に参加したみなさんの姿を見て改めて感じさせられました。
withコロナの時代、対面の良さとICTの良さを織り交ぜながら、新しい学びの在り方を共に考えていければと思います。
参加者の声(アンケートより抜粋)
・自分で設営してみて理解が深まりました。
・ICTはとにかく慣れることが大切だと思います。体験を重ねて自館の講座に活かしたいです。
・機材の調達や受講者確保が難しいように感じましたが、今回の経験を活かして、どのような規模で誰を対象に事業を展開するか考えていきたい。
・オンラインでつながった時、とても嬉しかったです。折り紙と健康体操講座は、離れた場所でも空間を共有できて、貴重な体験でした。
・「サテライト」で遠方の方と交流することができ、利用してみたいと思いました。
・何度かオンライン講座に参加していますが、機材はもちろん、講座企画の組立てなども検討して、内容を深めていきたいと思いました。
・折り紙や健康体操のオンライン講座は、公民館の主催講座として取り組みたいと思いました。
・ICTを活用したコミュニケーションも楽しいことが実感できました。若い人達の公民館参加を促すためには、オンライン活用は必須だと感じました。チャレンジ精神を忘れずに楽しく仕事に取り組んでいきたいです。
・オンライン講座に興味があるので参考になりました。機材が揃えば取り組んでみたいと強く思いました。