令和4年度生涯学習関係職員実践講座(基礎編2)報告
佐賀県立生涯学習センターでは、生涯学習・社会教育関係職員に必要な知識や実践力を身につける「生涯学習関係職員実践講座」(基礎編、ステップアップ編、地域支援編)を行っています。
今年度は初の試みとして、「課題解決支援おうえんBOOK(※1)活用編」「ICTを活用した新たな学びを考える編(※2)」の2つの連続性を持たせたテーマで実施!その様子をご紹介します!
- (※1)課題解決支援おうえんBOOKとは…市町、公民館等、佐賀県立生涯学習センター(アバンセ)の3者協働で地域の課題解決に取り組んでいる「課題解決支援講座」の10年間、31地域の試行錯誤をぎゅっとまとめた冊子。令和4年3月発刊
- (※2)ICTを活用した新たな学びを考える編…佐賀市地域振興部公民館支援課との共催で、佐賀市立春日公民館を会場に3回連続で開催します。
基礎編2 ICTを活用した新たな学びを考える編
「~機材の設置から運営方法まで~オンライン講座を主催してみよう!」令和4年8月30日(火)10時30分~16時00分
コロナ禍以降、対面で集うことが難しい時期が度々あったことで、公民館等では学びを止めないために、ICTでの学びの場を提供する機会が増えてきました。一方で、ネットワーク環境などの様々な事情で、未だそれを取り入れることが難しい公民館等もあります。
そこで「ICTを活用した新たな学びを考える編」の1回目では、公民館等でできるICTでの学びの場づくりのヒントを見つけるために、オンライン講座を主催する場合に必要な知識と技能を学びました。
【講師】左:秋山 翔太郎さん(特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構 副代表理事)
中:岡野 恵美さん(特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構 CSO経営支援事業コーディネータ-)
右:関 弘紹(佐賀県立生涯学習センター事業部長)
講師にお迎えしたのは、CSO団体をはじめとする、各種団体等へのICT支援をする中で積み上げてこられたスキルで、県内外で活躍中の秋山翔太郎さん(特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構 副代表理事)、岡野恵美さん(同CSO経営支援事業コーディネーター)です。
チラシはこちら (1053KB; PDFファイル)
【ミニ講義】 オンライン学習にとりくむ必要性って?
冒頭に、事業部長の関が「オンライン学習にとりくむ必要性」についてミニ講義を行いました。
社会教育や生涯学習の現場でも、ICTを活用した学びの場の提供は避けて通れないものとなり、同時に対面とオンラインの併用など、住民にとっての学びの機会は格段に増えてきたと言えます。
このような社会の変化に対応し、その中で見えてきたオンライン講座のメリットやデメリットを理解した上で、社会教育・生涯学習に携わっている職員自身がICT活用能力の向上と、取り組みを推進していく必要があることを話されました。
また、自身もICTは苦手な分野だと言って会場を沸かせつつ「成功体験より失敗体験から学ぶことは多いですね。具体的な企画や運営をイメージしつつ、回数を重ねながら、それぞれの手法を見つけてください」と、これからの講義と実践に繋げました。
ふれてみよう!ICT(知識編)
続く講義では、秋山さんにICTに関する基本的な知識から、知っていると活用の幅がぐんと広がる発展的な知識までお話しいただきました。
秋山さんと岡野さんは、佐賀県全体のデジタルリテラシーが底上げされて、よりよい地域になっていくようにと、CSO推進機構や市民活動プラザでの経験や培ったノウハウを使い、CSOオンライン推進事業にも取り組んでいらっしゃいます。
お二人の経験をもとに導き出されたスタンダードな講座の形態から、目的に合わせてバージョンアップした講座の形態に至るまで、接続などがひと目でわかるように色分けして作成された資料を使い、詳しく説明していただきました。
公民館等によくあるようなアンプやマイクに、ケーブルやコネクタなどを買い足すことでオンラインが可能になると話された時には「オンライン用の機器を準備しなければできないと思い込んでいた」という受講者から驚きの声が上がっていました。また、如何なる場合でもオンラインを諦めることがないようにと、目的に合わせた発信の手段も伝えられました。
「いずれにおいても、参加する方にとって学ぶ機会の損失を極力抑えることが大切です。リアル、ハイブリッド、オンラインでの講座開催、そこに延期や中止の選択も含めて、状況に応じて判断してみてください」との秋山さんの言葉に大きく頷く受講者の姿が見られました。
後半の実践にむけて、ハイブリッド型会場設営、サテライト会場設営、Zoomのホストやゲストとしての操作機能をしっかりと学ぶ時間となりました。
やってみよう!オンライン講座(実践編)
後半は、オンライン講座の主催者となった場合に必要となってくる機器の接続や、Web会議システムの操作など、会場の春日公民館内に設けた以下の3つのブースを、少人数のグループで回りながら実践しました。
(1)やってみよう!ハイブリッド型会場設営
地域の住民(受講者)がリアルとオンライン会場にいて、双方向の交流があると想定したもの。
(2)やってみよう!サテライト会場設営
地域の住民(受講者)がリアル会場に集まり、スクリーンに映し出される講師の講演を聞き、質疑応答などの双方向の交流があると想定したもの。
(3)Zoomの機能を使い倒そう!
Web会議システム「Zoom」を使用したホスト・ゲストの体験。ホストになった場合に必要な機能や、知っておくと便利な機能を中心に操作する。
「全員が必ず機器を触ること」というルールで、1つのブースを1グループ正味20分程度で体験するというタイトなスケジュールでしたが、皆さんで協力し合いながら、積極的に機器の接続や操作をして、時間内に各ブースの目標に達していました。
また、運営上(1)と(2)の会場をオンラインでつないで接続を確認するようにしていたところ、それだけにとどまらず、自己紹介や近況報告などの対話を始めるグループが現れ、普段から交流を大切にしている様子も伺えました。
前半の講義の内容を実践で確認したことで、受講された皆さんはより具体的に理解を深めることができたようでした。
秋山さんと岡野さんは、いずれのブースでも皆さんからの質問に丁寧に答えられ、豊富な経験から導き出されたノウハウを余すところなく伝えられていました。
番外編
前回から講座の中に組込んでいるQRコードとGoogleForm。今回はアンケート回答に利用してみました!受講者は手軽に入力ができるし、主催側は自動集計に助けられます。公民館等でも活用してはいかがでしょうか♪
参加者の声(アンケートより抜粋)
- 資料や説明等分かりやすくまとめられていて、実際に機器に触って接続などできたのが良かったです。
- 実際に機材に触って体験できて、各部屋にシチュエーションが設定されていて参考になりました。
- PCとスマホなど、今ある機材でとりあえず原理と基本を勉強してみようと思いました。
- その場で質問ができ、より理解を深めることができました。
- 専門的な機材が必要だと思っていたが、アンプやカラオケ機材、ビデオカメラで配信ができると分かりハードルが少し下がりました。
- 講師の経験を十分共有していただき、苦手意識が軽減されました。
- ICT活用のメリットを活かして、もっと地域の方に幅広い講座を届けたいと思います。
- 講座が広がる可能性を感じたので、他公民館を共催でやってみたいと思います。
- ICTの利活用は、若い世代を巻き込むまちづくり活動にも効果がありそうです。公民館の職員こそ、ICTに精通する必要があるのかなと思いました。