令和4年度 家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第5回報告

つながりあいの中でひろがる家庭教育支援の可能性

~誰も取り残さない!親と子の育ちの支援をめざして~

リーダー研修は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数が3年以上の方を対象とした連続5回講座です。

様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、子どもと親の育ちを支援するために、つながりあう中でできることをお互いに学び合い、考えていきました。


家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修)チラシ (695KB; PDFファイル)

第5回 つながりあいの中でひろがる家庭教育支援 ~より良い活動にするために~

【開催日時】2月28日(火)13時30分~16時45分


最終回の5回目は、これまでの4回の講座をふり返りながら、それぞれの今後のより良い実践に向けて考えました。

前半は、講師の宮嶋さんに各回の内容のポイントをお話しいただき、これまでの学びをふり返りました。


講師

【講師】宮嶋 晴子 さん(九州女子短期大学子ども健康学科 教授)


【ふり返りコメント】

第1回は、この連続講座の中で目指したいこととして「家庭教育支援の実践のとらえ直し」をあげた。行政のサービス支援や個別支援に大きく偏ることで、子育ては支援が無いとできないという構造になってしまうことへの危惧と、社会の中で孤立状態が蔓延している問題が大きい。その中で大事なのは、つながりや関係性を回復していく支援であり、そこに家庭教育支援の実践への期待がある。それぞれの課題がある中で、より良い支援のために何が必要かを考えようと投げかけたスタートだった。

第2回(講師:大西良さん)は、課題に直面している子どもたちの状況がコロナ禍において深刻化している中で、地道な支援実践で「つながる」ことを大切にされている。つながった延長上に課題を解決するためのアプローチの道ができるのだと思う。「リフレーミング」は支援者においても大事で、相手に対して夢や希望が見える言葉かけ、関わりができるようになる。

第3回(講師:日野久美子さん)は、発達障害の有無ではなく「子どもの特性やその状況の中でいかに子ども自身が希望を持って、よりよく生きていけるのか」に視点を置かれている。保護者との関わりにおいて、子どもを支える当事者である保護者の経験や知恵に学ぶという視点は、支援者として大切。

第4回では、子育て当事者からスタートした活動の事例の中から「地域の多世代でお互いに助け合う」「持続可能な実践の仕組み」「大家族のような関わりの中で支え合う」「二歩踏み込む距離感での関わり」といった支援実践のあり方が見えた。今の社会に必要な活動へのヒントを学び、どういう支援をしていくべきかを考え、学び合うことができた。


受講者からは「ふり返りを交えた話を聞いて、改めて大事なことや自分にとって必要なことが分かった」との声が聞かれ、学びの再確認の時間となりました。

講義 講義 講義


グループディスカッション

後半は『親をお客さんにしない(親の自立を促す)家庭教育支援、子育て支援とは』というお題でのグループディスカッション。宮嶋さんから「親に厳しく接して一人でさせるようなことが自立ではない。当事者が自分たちの力で自己実現できるようにサポートしながら、やがて親も子も幸せになれるような支援とは?という視点で考えてみましょう」とのアドバイスがあり、グループメンバーで話し合いました。

グループワーク グループワーク グループワーク


その後、話し合った内容を言葉や図を用いてボードにまとめる作業をしました。「支援者にとって、考えたことを言語化して、それを相手に伝えるスキルは大事」との宮嶋さんの言葉を受けて、グループで協力しながら取り組む様子が見られました。

発表では「寄り添うこと」「信頼関係」「対等な立ち位置」「モデルに出会わせる」「一緒に実践をつくる」などのキーワードで表される内容が紹介され、各グループで深まったディスカッションでの気づきや学びを全体で共有することができました。

グループ発表 グループ発表 グループ発表

個人発表&まとめ

最後は、これからのより良い活動に向けて今回の学びをどう活かしていくのかについて、受講者一人ひとりの発表です。

「日々葛藤しながらも、親の理解者として、育ちを支えるような関わりをしていきたい」

「『しつけ糸』のような存在を目指して、親や子どもたちに柔軟な対応ができるようにしたい」

「多世代での関わりの良さを感じたので、積極的に地域にも目を向けていきたい」

など、それぞれが得られた学びと、これからの支援実践に対する思いが語られました。


まとめとして、宮嶋さんから「親の自立」について、自身の経験も踏まえて言語化されたプロセス【4つのフェーズ】を紹介されました。

支援者が親への支援を始める(親は支援者に依存している)段階【フェーズ1】から、支援者が親に伴走するようにつかず離れずサポートする段階【フェーズ2】を経て、親がだんだん元気になって自ら子育てを楽しめるようになる段階【フェーズ3】になると、支援者は自分の存在を徐々にフェードアウトさせていく【フェーズ4】というプロセスを示され、【フェーズ4】では元気になった親が他の新しい親をサポートするような関わり(支援者的な役割を内包している状態)も見られると説明されました。

「支援というものは循環していくもの。子育て経験のある人が次の世代に寄り添って伴走し、最終的にフェードアウトしていく。そのくり返しが重要」と、親の育ちのプロセスとともに、支援のつながりの可能性があるのだと結ばれました。


閉講式

閉講式 閉講式 閉講式


リーダー研修は全日程(5回)参加した方に修了証を交付しています。

閉講式にて、今年度は田口アバンセ館長より16名の方に修了証が手渡されました。


最後に田口館長から受講者の皆さんに向けて「講師の方々や受講者の皆さんが出会い、それぞれの活動のことや日々の思いを語り合ったこと、ここでのつながりをぜひ大事にしてほしいと思います。皆さんの発表を聞いて、支援に対する姿勢が素晴らしいと感じました。それぞれの現場ではモヤモヤすることがあるかもしれません。そんな時はまたこの講座に来て、支援者同士でつながり、マインドリセット、元気をチャージして、現場での活動に臨んでもらえたらと思います」とエールを送り、皆で拍手をしてお互いをたたえ合いました。


受講者の皆さんのこれからの活動がより良きものとなるよう応援しています!


受講者の感想(アンケートより抜粋)
  • 親子に関わる姿勢が変わりました。支援の奥深さ、難しさの再認識とともに、支援者としてのやりがいも実感してきました。微力ですが続けて頑張っていきたいです。
  • 様々な考えを持った方々と毎回ディスカッションすることで、自分の考えにも幅ができたと感じます。今まで知ることができなかったことに関心を持ち、今後のエネルギーをもらえました。
  • 自分のこれまでの家庭教育支援の捉え方を見つめ直す機会となりました。支援する側、支援される側ではなく、一緒に伴走し、支え合う関係性でつながっていく、人と人との温かい支援、人間性をみがいていきたいと思います。
  • 支援をする際は、相手がどこに困りを抱えているのか、自分にできることは何かを考えるようになりました。講座での出会いがきっかけでSNSでつながったりして、情報や活動を知ることができ、良い刺激や学びになりました。
  • 毎回、自分自身の活動に関する問題提起をいただき、楽しんで受講できました。講座で学んだキーワードを実践でいかに意味づけしていくかが課題と感じています。資料を時々ふり返ることで俯瞰的に捉える機会をつくっていきたいです。

トップへもどる