令和4年度 家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第4回報告

つながりあいの中でひろがる家庭教育支援の可能性

~誰も取り残さない!親と子の育ちの支援をめざして~

リーダー研修は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数が3年以上の方を対象とした連続5回講座です。

様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、子どもと親の育ちを支援するために、つながりあう中でできることをお互いに学び合い、考えていきました。


家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修)チラシ (695KB; PDFファイル)

第4回 子ども・親・家族を地域で支えるためにできること ~当事者発!活動の試行錯誤から考える~

【開催日時】1月27日(金)13時30分~16時30分


講座4回目は、子育て当事者から始まった支援活動の事例発表者として、中島直子さん(地域互助力向上ネットワーク 0-100地域の輪 代表)と中村路子さん(一般社団法人 umau. 副代表)をお迎えし、現在の活動に至るまでの歩みや活動する中での思いなどをお話しいただきました。また、講師として第1回に引き続いて宮嶋さんにお越しいただき、お二人の実践を深ぼるトークセッションのコーディネートをしていただきました。


講師

【講師】宮嶋 晴子 さん(九州女子短期大学子ども健康学科 教授)

事例発表

事例発表

【発表者】中島 直子 さん(地域互助力向上ネットワーク 0-100地域の輪 代表/唐津市)

「子育て中のお母さんたちが悩みやつらさを共有できる場をつくりたい」との思いで居場所づくりの活動を始められた中島さん。自身も子育てで悩み苦しんだ当事者として、その経験を共有し、お母さんが本音を出せる環境づくりに時間をかけて取り組んでこられました。10年近く活動を続けた中で、お母さんたちの困り感を母親のコミュニティの中で共有するだけでは不十分であると感じたこと、また、多世代と関わる中で、人は様々な役割を担い合えるという気づきから、多世代交流への関心が生まれ、今の「0-100」の活動につながったと話されました。

いろいろと失敗もする中で、関わる一人ひとりとの距離感を大事にしていくことを学んだという中島さん。自身のネットワークも生かしながら、人や社会資源をつなぎ、地域交流を広げる活動を通して、お母さんたちも、他の誰もが孤立せずに支え合える地域をこれからも目指したいと語られました。


事例発表

【発表者】中村 路子 さん(一般社団法人 umau. 副代表/久留米市)

母子家庭団体を立ち上げて活動をスタートされた中村さん。二人の子どもを育てるシングルマザーで、自身の経験から、貧困の悪循環を断ち切るために当事者同士の支え合い(相互扶助)の視点で活動を展開されています。活動の拠点『じじっか』では、大家族のように皆で「育て合う 学び合う 支え合う」ことで、貧困家庭の脱出と地域子育ての環境ができるように取り組んでいると話されました。

活動する中で実感していることは「子育てにも子どもたちの成長にも地域活動にも、すべてのことに伴走が必要」だということ。どんな伴走が必要なのか、当時者だからこその思いや発想でできることを模索されています。「今、支援を受けている人が自分の力を発揮できる地域にしたい」と、支えられるだけでなく、皆で支え合いながら本当に豊かな暮らしの実現に向けて取り組む思いを述べられました。

トークセッション&質問タイム

トークセッション

トークセッションはお二人に宮嶋さんや受講者からの問いかけにも答えていただき、様々な視点での気づきが得られました。

特に、支援を受けている親側の意識変容を促す関わり方(「魚ではなく釣り竿を」)や、親自身が本来持っている力を出せるような空気づくり、相手に「二歩踏み込む」距離感による接し方は、親が力をつけて支え合いながら共に自立が叶う「循環する活動」になりうるのだと合い話が展開していきました。


宮嶋さんは「二人の活動には当事者性が内包されているから、支援の中にも当事者を中心としたスタンスがある。それは支援する側とされる側という切り取り方ではなく『一緒に地域や社会をつくる仲間』という感覚なのではないかと感じた」と話され、地域の中で一緒に育ち合いながら、共に主体性を持って子育てや地域活動を目指されている実践の姿を示されました。

グループディスカッション

グループワーク グループワーク グループワーク


後半は、事例発表やトークセッションを聞いて、当事者の思いをどのように支援活動につなげていくのか、それぞれの立場や活動に結びつけて考えました。中島さん、中村さん、宮嶋さんにもグループに入っていただき、意見交換しながら話題を深める時間となりました。

グループ発表では「悩みを相談、共有できる環境づくりが必要」「親が子育てを楽しめるような支援や頼ってもいいと思えるような信頼関係を築くことが大切」「行政の取組みとつながってできることも、まずは正しく知るように努めたい」など、語り合いの中での気づきも含めて、全体で共有することができました。


最後に宮嶋さんは「当時者にとっての課題をきちんと捉えられているか、親や子どもが幸せになるための支援になっているかということをふり返ってほしい」と話され、「親子の願い」を見通しながら、最終的に本人たちの自立につながるような支援活動を行うことが大事であると伝えられました。

事例発表者からは「県内で活動されている皆さんに出会えて嬉しかった。誰しもが何かの当事者ということを心に留めて、皆さんの経験を現場の支援活動に活かしてほしい」「たくさんの学びがあった。当事者として、私たちに何ができるのかをこれからも考えていきたい」とメッセージをいただきました。

お二人のエネルギーと内なる闘志のようなもので会場の熱が高められる中、発せられる言葉に刺激を受けながら、受講者それぞれが自らの活動をより良いものにと考え、語り、学び合うことができた時間となりました。


受講者の感想(アンケートより抜粋)
  • 事例発表を聞き、とにかく自分でやる!というパワーがすごかったです。自分の活動も何か変えていくことができればと思いました。
  • 事例発表は様々な取組みを知るとともに、今の職場の課題にも通じることがあって大変興味深く聞くことができた。「多世代での支援」「二歩踏み込む」等、大切なキーワードをいただきました。
  • 親をお客さんにしてしまわないで、親の育ちを待つ。「魚ではなく釣り竿を」を考えていきたいです。

トップへもどる