令和4年度 家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第2回報告

つながりあいの中でひろがる家庭教育支援の可能性

~誰も取り残さない!親と子の育ちの支援をめざして~

リーダー研修は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数が3年以上の方を対象とした連続5回講座です。

様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、子どもと親の育ちを支援するために、つながりあう中でできることをお互いに学び合い、考えていきました。


家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修)チラシ (695KB; PDFファイル)

第2回 声を聴き、つなぐ支援 ~困難な環境にある子ども・親への支援から学ぶ~

【開催日時】11月24日(木)13時30分~16時30分


講師

【講師】大西 良 さん(筑紫女学園大学人間科学部 准教授)


講師の大西さんは、小中学校のスクールカウンセラー、子ども食堂や夜回り(公園や駅での若者への声かけ)活動などにも取り組まれています。講座では、自らの経験や活動の中で感じたこと、見えてきたことを踏まえながらお話しいただきました。

講義「コロナ禍における子ども・若者の現状」

はじめに、ここ数年のコロナ禍において生活環境が変化し、心身への影響から生きづらさを感じている子どもや若者が増加している現状について話されました。

最近、寄せられる相談内容として増えているのは「メディア依存」「睡眠不調」「自傷行為」。その背景には、本人が抱える不安や悩みの存在が大きく関係しているそうです。「子どもたちの声はSOSのサイン。どういうことでそんな思いをしているのか、まずは相手の気持ちをよく聴き、共感することが必要」と、悩みや不安を話せる場の重要性とともに述べられました。

また、現代の日本社会の貧困問題である「相対的貧困」について触れられ、近年、子どもたちへの影響として深刻な事例が見受けられるようになった「デンタルネグレクト(口腔崩壊)」の実態を紹介されました。貧困による様々な事情から、子どもの歯が著しく損なわれている現実があり、その実態に衝撃を受けた受講者も多かったようです。大西さんが携わる子ども食堂では、親子向けに「口の健康教室」を実施されています。地域での地道な支援の取り組みによって保護者や子どもが学び、困難な状況への一助につながる可能性をお話しいただきました。

そして、全国で取り組みが広がっている子ども食堂の役割が多様化していること、コロナ禍でも毎年1,000箇所以上増加している状況を説明され、「数が増えているということは、多世代のいろいろな立場の人が集える、つながる場所が必要とされている社会である」と話されました。最後に「つながりづくりは、孤立や孤独を予防し、助けてと言える社会づくりでもある」と、生きづらさや困難を抱えている人の声をどうやって聴き、どう支えていくのか、その重要な課題に取り組んでいく必要性を呼びかけられました。

グループワーク

グループワーク グループワーク グループワーク


後半はマッピングという手法を用いたグループワークを行い、例題として出される家族の状況や関係性を「ファミリーマップ」で図示しながら、その家族の問題点(課題)を考えていきました。

大西さんから「出てきた問題点をプラス思考で捉えると、どんな意味づけができますか」と問われると、受講者の対象を見る視点が広がった様子が伺えました。この「リフレーミング」(フレームを変えること)で思考をプラスに変えると、新しい発想や次の展開の糸口をつかむことができるそうです。また、実際に相手に接する際も、ポジティブな表現での言葉がけが大切です。

「事実は変わらないけれど、見方や意味づけは変えられる。捉え方次第で行動が変わるきっかけにもなる」と話されたことから、物事を柔軟に両面から見ていくことと、それが相手への関わり方まで及ぶということを学び、新鮮さとともに多くの気づきを得られた時間となりました。


受講者の感想(アンケートより抜粋)
  • 今回のテーマは自分の仕事の中で感じるところもあり、講義を聴いて、相手に自然に寄り添って声をかけたり、話を聴くことの大切さをあらためて考えさせられました。
  • ひとり親家庭のことや子ども食堂の現状を具体的に聴くことができ、今後の自分の活動に活かせると思いました。
  • 子ども食堂が全国でこんなに活動が広がっていることを知り、自分も地域の子どもや高齢者の方の力になりたいと感じました。グループワークでは、職種やその人の経験値によって見方や意見が異なり、とても勉強になりました。
  • 視点を変えるだけで見えてくるヒント。問題点を見る中で意識を持ってリフレーミングをしていきたいと思います。

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