令和4年度 家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第1回報告

つながりあいの中でひろがる家庭教育支援の可能性

~誰も取り残さない!親と子の育ちの支援をめざして~

リーダー研修は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数が3年以上の方を対象とした連続5回講座です。

様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、子どもと親の育ちを支援するために、つながりあう中でできることをお互いに学び合い、考えていきました。


家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修)チラシ (695KB; PDFファイル)

第1回 家庭教育支援の実践をとらえ直す

【開催日時】10月27日(木)13時15分~16時30分

開講式

開講式

講座の会場には、子育て支援センターや保育園、放課後児童クラブ、市町の関係機関などで支援活動に関わられている方、地域で子どもの居場所づくりに取り組まれている方など、様々な場で活動している皆さんが集まられました。

主催者挨拶で田口館長は、連続講座の受講を決心して来られたことに感謝を述べ、「現場は理想通りにいかない制限が往々にある。どうしたらいいのか模索する日々を送り、時に無力感を感じたり、心が折れそうになることもあるのではないかと思います。だからこそ、仲間の存在が必要。この場に集い、同じ時間と学びをともにする皆さん同士が、仲間としてつながってほしい」とエールを送りました。

講義「家庭教育支援の実践をとらえ直す」

講師

【講師】宮嶋 晴子 さん(九州女子短期大学子ども健康学科 教授)


講師として、九州女子短期大学子ども健康学科教授の宮嶋晴子さんにお越しいただきました。

はじめに、この連続講座の中で目指したいことの一つは『支援実践のとらえ直し』と話された宮嶋さん。「長年続けていると気づきにくいが、自らの活動をあらためて俯瞰し、客観的に見ることで、活動の良い面や改善点に気づくことができる。また、お互いの活動を知りあう中で気づきを得られることが、この講座を受講する意義ではないだろうか」と話されました。さらに『当事者の声から考える支援実践』のあり方もポイントとして挙げられ、支援者でありつつ、子育ての当事者性を持っている(内包している)ことで得られる親子への視野の広さ、当事者目線からの支援実践についても「事例をまじえながら一緒に考えていきたい」と呼びかけられました。

また、子育ての課題解決のために国が行ってきた約30年間の政策について触れられ、その到達点が子育てのサービス支援や個別支援にとどまり、根本的な解決に至っていない現状を指摘されました。親自身が子育てを営む主体として家庭教育力を獲得していく(親として成長する)ための支援が大事であること、そして、子育てNPO活動の実践者でもある自身の経験から、親が『学びに出会う』入口の大切さを説かれ、それ故に受講者の皆さんの草の根的な支援が必要であることを、その実践への期待も込めて語られました。

宮嶋さんは第4回、第5回講座にも登壇。

グループディスカッション 「お互いの活動を知りあう・語りあう」

ワークショップ ワークショップ ワークショップ

後半はまず、受講者自身の実践をふり返るワークシートに取り組み、それぞれの活動を言語化しました。そして『私が大切にしてきたこと』『実践の成果(意味)』『実践の課題』について、グループメンバーで意見交換をし、お互いのことを知りあいました。初対面の方がほとんどでしたが、大きくうなずきながら、それぞれの思いや悩みなどを聞きあう皆さんの様子から、とても深い語りあいの時間になったことが伺えました。


グループ発表 グループ発表 グループ発表


グループ発表では、ディスカッションの中で特に話題になったことを紹介してもらいました。「相手の気持ちに寄り添い、ありのままを受け入れることを大切にしてきた」「居場所として、ここに居ていいと肯定する場をつくっている」「こちらが傾聴することで、気持ちを言葉にして話してくれるようになった」など、親や子どもに向き合う姿勢が伝わってきました。また「活動や施設利用の周知」「関係機関との連携」など、地域における支援の充実に関わる課題もあげられました。

宮嶋さんは発表を聞いて「支援活動は『葛藤』の連続。相手にこうなってほしいという願いを持っていても受け入れられない時もある。葛藤しながらも相手に歩み寄ることで信頼関係が築かれる。今の支援に葛藤があることを大事にしてほしい」とコメントされました。

そして「親を理解するための支援者の立ち位置は『アンダースタンド』(理解する)。すなわち「アンダー(下)」「スタンド(立つ)」の通り、親がより良い子育てができるように、下から支えることが大事」と話されました。また「支援者は、親が子どもの自立支援ができるようにそっと手を添えるような存在であってほしい」と『しつけ糸』を例えに支援者像を語られ「今の支援が最終的に親や子どもの自立につながる方向性になっているのか、これからの講座を通して一緒に考えていきましょう」と呼びかけられました。


受講者の感想(アンケートより抜粋)
  • 職種は違っても、皆さんが同じことを思いながら子どもや保護者のために活動していることが心強くもあり、これからの自分の活力になりました。
  • 今の支援の現状を知ることができ、自身の活動のふり返りとグループでの語り合いもできて、とても有意義な時間でした。
  • 『しつけ糸』の話がとても腑に落ちました。親子のしつけ糸を目指して頑張ります。

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