令和4年度 課題解決支援講座(唐津市)を開催しました

【課題解決支援講座について】

佐賀県立生涯学習センターでは、市町、公民館等との共同企画で、地域課題の解決に向けて取り組む講座を開催しています。《令和4年度は佐賀市、唐津市の2地域と共催》


唐津市×肥前公民館との共催で

「肥前ふるさとじまん おもしろかるたにチャレンジ!! 」を開催しました。


講座チラシ(肥前ふるさとじまん おもしろかるたにチャレンジ!!) (708KB; PDFファイル)

講座名「肥前ふるさとじまん おもしろかるたにチャレンジ!!」

肥前町は唐津市の北西に位置し「いろは島」や「切木ぼたん」などの観光の名所としても知られている風光明媚な地域です。しかし、過疎化が進み、町内にある4つの小学校(入野、田野、納所、切木)の内、令和6年度には3校が統廃合で1つになります。さらに、肥前町全体が一緒に交流するような行事がないなど、地域のつながりの希薄化や地域活力の低下が懸念されていました。

そこで、自分達が住むまちに誇りを持ち、住み続けたいと思うことがまちづくりの一助になると考え、4校区の子どもを中心に、自然や文化、人物など肥前の良さを取り入れたかるた作りをとおして、郷土愛を育みながら交流を図る講座を開催しました。その講座の様子をお伝えします。

 

第1回 「チャレンジ! ふるさとじまん」

 【日時】令和4年11月6日(日)10時~12時

【講師】鴻上 哲也さん(伊万里市民図書館長・佐賀県地域学校協働活動統括コーディネーター)

 

肥前の好きなところや良いところ探し

第1回は「チャレンジ!ふるさとじまん」と題して、地域の良さをギュッと詰め込んだかるたをつくるため、かるたの題材となる「肥前のよいところ」を語り合いました。

始めに、田口アバンセ館長の挨拶の後、公民館の岩本館長より課題解決支援講座を開催することになった経緯や「かるたづくりで皆に肥前を好きになってもらい、他校の子ども達とも仲良くなってほしい」という思いを伝えられました。

続いて、はかま姿でかるたの雰囲気づくりをされた講師の鴻上さんの進行のもと「3つの自分のじまんの中からウソを1つ見つける」というアイスブレイクをかねた自己紹介をしました。答え合わせをすると「当たった!」「あ~外れた!」と弾んだ声が聞こえ、緊張ぎみだった子ども達にも笑顔がこぼれました。


講師 アイスブレイク


ワークショップ ~肥前のふるさとじまん~

場が温まったところで「私は肥前のことをあまり知りません。皆さんがおすすめしたい肥前のことを教えてください」という講師の声掛けに、子ども達は応えるように、肥前を紹介した動画や地域の特徴が載った地図などの資料を参考にしながら、肥前の魅力を次々に付箋に書きだし発表しました。

「棚田がきれい」「はまてんがうまい」の声に「そうそう」とうなずく姿や「子どもが生まれた家でお祝いする『亥子打ち』という行事がある」という話に「肥前に長く住んでいていても知らなかった」と参加した保護者も一緒になって驚くなど、肥前の魅力を共有する時間となりました。

ワークショップ ワークショップ(発表)


肥前のふるさとじまん一覧

70以上の肥前町のよいところが集まり、歴史や行事、風景や人物、自分推しなど12の項目に分けました。地域サポーターからは「子ども達がこんなに肥前のことを思っていたとは知らなかった」「肥前の自慢をするとき良い目をしていた」との声があり、意外と子ども達が自分のまちに関心を持っていることを知る機会となりました。

ふるさとじまん一覧

参加者(子ども)の感想
  • 皆と協力して、楽しく肥前の魅力が知れてよかったです。次回も楽しみです。
  • 知らない人と話し合って緊張したけど、自分の意見を出して協力し合えました。
  • 思っていたよりたくさんいい所があった。

 


第2回 「チャレンジ!! 映え写真」

【日時】令和4年11月20日(日)10時~12時

【講師】諸石 信さん(諸石写真事務所)

かるたの絵札づくり ~写真の撮り方を学ぶ~

第2回は「チャレンジ!映え写真」というテーマで、絵札となる写真の撮り方を学びました。

講師にはプロカメラマンの諸石さんをお招きし、光の調節やアングルなどの写真を撮るポイントや、注意点などを教えていただきました。

撮り方で写真がどんなふうに変わるのか外に出て実践でレクチャーを受けた後、公民館施設内を自由に撮影して回りました。

講師 講義


おもしろ写真

ホウキを持って飛んでみたり、手や葉のカタチで思いを表現したりと、おもしろ写真の撮り方にも挑戦しました。

   


ベストショットの発表

後半は、たくさん撮った写真の中から各自ベストショットを1枚選び、写真に込めた思いや工夫したポイントを発表しました。「自然や緑がたくさんあるのが肥前の魅力だと思ったから」「2人と小学校で出会い、これまでのたくさんの思い出も自慢の1つとなると思ったから」と語る子ども達。「肥前の良さを知っているから写真に表現できる。すてきな視点ですね」「足先でスクラムを組むアイデアがいいですね」と、講師より一人ひとりに良いところが伝えられました。そして「写真を見た皆さんから笑顔や笑い声が出ていましたね。写真は人を楽しく、幸せにもします。それが大事だと思います。そんな写真の絵札ができるといいですね」とエールが送られました。

   


最後に、写真の撮り方を学んだ子ども達は、「かるたの絵札となる写真を撮ってくる」と意欲を見せ、第1回で話し合った「ふるさとじまん」リストの中からどの写真を撮ってくるかを話し合いました。

講座後、講師のあたたかなコメントや地域サポーターのアットホームな寄り添いのおかげで、人前で話すのが苦手な子どもも臆せず自分の言葉で思いを語っていた姿がうれしく、スタッフ一同で喜びました。


 

(左)「ふるさとじまん」リストの中から自分が撮ってくるものにふせんを貼付 

(右)公民館の入口に参加者の思いや講師からのコメントを添えて参加者が選んだベストショットを掲示

参加者(子ども)の声
  • 写真をとるコツが分かったので、これから講座を忘れずに良い写真を撮っていきたい。
  • 光や大きさが大事。よく撮れるようになりたい。
  • 皆が写真を見て笑ってくれた。講師が写真を評価してくれてうれしかった。


第3回 「チャレンジ!!! おもしろワード」

 【日時】令和4年12月10日(土)10時~12時

【講師】鴻上 哲也さん(伊万里市民図書館長・佐賀県地域学校協働活動統括コーディネーター)

アイスブレイク

第3回はグループ対抗で読み句を考えます。そこで、グループの結束を高めるべく、実際にはないボールでキャッチボールをする「エアーキャッチボール」というアイスブレイクからスタートしました。声をかけあい調子を合わせながら、ボールを投げる真似や、お腹で受け止めるふりで、ほどよく気持ちと身体をほぐしていきました。

アイスブレイク アイスブレイク

かるたの読み句づくり

会場には参加者や地域サポーター、公民館職員が送ってくれた写真をズラリと一面に掲示。その中から絵札となる写真を選び、読み句を考えていきました。読み句ができるか心配するスタッフをよそに、「他のグループに負けたくない」とやる気スイッチが入った子ども達は、辞書で調べたり周りに声かけたりしながら、大人では思いもつかないような発想豊かな読み句を驚くほどの勢いで作っていきました。

  

絵札と読み句一覧

こちらが完成したかるた一覧です。どれも子どもらしい味のある句ができました。肥前青少年育成協議会にご協力いただき、毎年子ども達が参加する川柳大会の今年のテーマを「ふるさとじまん」にしていただいたことも功を奏したのだと思います。

   

肥前独自のおもしろルールづくり

後半は、自分達が楽しめるひぜん独自の競技ルールを考えました。「『ひ・ぜ・ん』の札は得点を2倍にする」「大判かるたを作る」「負けたらマスクに×マークを付ける」などのおもしろい案がでました。

 

参加者(子ども)の声
  • いろんな言葉を考えるのは難しかったけど楽しかった。
  • 自分のかるたを作れた。みんな楽しくたくさん作っていたし、私自身も楽しかった。
  • スタッフの人の対応がやさしくてうれしかった。

  

「肥前ふるさとじまん おもしろかるた」制作

厚紙にカラーコピーをして手作りしたかるたは、通常のサイズとA3の大判サイズを準備しました。そして今回は、札のふちを5色(黄・赤・緑・白・青)にして、そのうちの1色を得点2倍にするルールを取りいれることにしました。札の数だけで競うのではなく、かるたの札が少なくても勝つ見込みがあり、小さな子どもも楽しめるように、と考えました。


絵がすてき おもしろいぞ ガメ踊り 坂道で 休憩しながら ゆっくりと 真っ白な 菖津の真珠 きれいだな へっへっへ この仲のよさ 世界破壊 レモン色の なぞの生き物 それぴおん

(左からガメ踊り、納所くんち、菖津真珠、仲良し、ぴおんちゃん) 

絵札一覧(肥前ふるさとじまん おもしろかるた) (33004KB; PDFファイル)

読み句一覧(肥前ふるさとじまん おもしろかるた) (174KB; PDFファイル)

第4回 「チャレンジ!!!! かるたバトル」


【日時】令和5年2月26日(日)10時~12時30分

【講師】鴻上 哲也さん(伊万里市民図書館長・佐賀県地域学校協働活動統括コーディネーター)

 

 最終回は完成したかるたで「かるたバトル」です!これまでの参加者だけで楽しむのはもったいないと、町内4つの小学校に再度チラシを配り、参加者を募集。「うちで育てた真珠が絵札になったので来ました」という家族など、多くの参加がありました。

 

2種類のサイズのかるたで熱戦

肥前市民センターの松尾係長から挨拶をいただいた後、ルール説明を行い、さっそく競技スタート。この日は唐ワン君も応援にかけつけ、場を盛り上げてくれました。各グループの審判となった地域サポーターが見守る中、和太鼓の音を合図に句が読まれると「自分で作った札は絶対取る」と闘志を燃やした熱戦が繰り広げられました。大判かるたでは、どこに札があるか分からなくても、句が読まれると同時に走りだす子ども達で賑わっていました。

 


 

団体戦                 個人戦(大判かるた)

 

表彰式

表彰式では、優勝者と、講座に4回参加した子ども達に皆勤賞、そしてサポーターとして関わった地域の方に賞状を授与し、インタビューを行いました。

   

ふりかえり ~スライドショーとワークショップ~

これまでの講座の様子をまとめたスライドショーを見た後、この講座のふりかえりをしました。子ども達からは「肥前町のよいところを知れた。みんなにも広めたい」「来年もまたしてほしい」などの声があり、保護者からは「毎回楽しかったみたいで、帰ったらかるたの話ばかりしていました」「講座の話題で親子の会話が増え、子どもがイライラしなくなりました」「長く住んでいても知らなかった肥前の良さがありました」と感想を語られました。講座後は保護者同士で学校の状況などを会話する姿があり、ゆるい交流の場になっていました。

   

参加者(子ども)の声
  • 肥前町のことを知れたから参加してよかった。
  • かるたはあまりとれなかったけど、大型かるたはみんな動けて楽しかったので来年もあれば参加したい。
  • バトルができて楽しかったし、知らない人と話とかできてよかった。
肥前わんぱく塾(肥前市民センター主催)

今回、課題解決支援講座を一緒に企画した肥前市民センターの方との連携で、市民センター主催「肥前わんぱく塾」(子ども体験教室)と本講座の第1回、第3回を同日に開催しました。昨年度はコロナ禍ということもあり、わんぱく塾では参加がとても少なかったとのこと。そこで、お互いの参加者増を狙って「この日は一日公民館で楽しんでもらおう!」ということになりました。結果、ほとんどの子ども達がどちらにも参加してくれました。ちなみに、ケーキ作りの講師は肥前町じまんのケーキ屋さんの方で、かるたの「け」の絵札になっています。

おにぎらず  ケーキなら 123があるよ 食べてみて

おにぎらずづくり      ケーキづくり       かるたの札


講座を終えて

7月の事前研修から始動し、唐津市教育委員会・唐津市肥前公民館・肥前町市民センター・アバンセが共同で企画づくりに取組み、講師から助言やアドバイスを受けながら、みんなで協力して講座を実施しました。

試行錯誤しながらも、無事に「肥前ふるさとじまん おもしろかるた」を作り上げることができ、子ども達の郷土愛を育む機会となりました。また、地域サポーターの皆さまのあたたかいご支援や見守りのおかげで子ども達がのびのび学び、力を発揮する場となりました。


講座終了後、早速公民館では「子ども教室」でかるたの札にある名所めぐりや「百歳体操&脳トレ講座」でかるた会が開催されました。今後はさらに、大人のかるた名所めぐりツアーや小中学校等へのかるた配布に向けた唐津市補助事業への応募、絵札の裏に注釈を添えたかるたのバージョンアップなどを計画されているそうです。今後の進展が楽しみです。

 

「小さなかるたに大きな未来」

最後に、かるたを通して子どもから大人まで地域の皆さんが一緒になって、自慢できる肥前の未来づくりへと歩みを進めていかれることを願っています。

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