家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第3回報告

リーダー研修 親と子の未来を育むためにできること~家庭教育支援の今を考える~

今年度より家庭教育支援者リーダー等養成講座は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数に応じて「支援者養成講座」と「リーダー研修」に分かれて受講できるようになりました。

今回のリーダー研修(活動年数3年以上の方対象)は、様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、私たちにできる子どもや親の育ちを支える家庭教育支援について共に考え、学び合っていきました。(連続5回講座)


「リーダー研修」のチラシはこちら (975KB; PDFファイル)

第3回 子どもの発達支援に必要なこと              ~発達障害を持つ子どもへの関わり方から考える~

開催日時:12月21日(火)13時30分~16時30分

講師の日野さん

講師:日野久美子さん(元佐賀大学教職大学院教授、公認心理士、特別支援教育士SV、学校心理士)


講師の日野さんは小学校教諭時代に『まなびの通信指導教室』を立ち上げられ、通常学級に在籍する発達障害等の子どもたちへの教育に大変力を注がれた経験をお持ちです。現在はフリーな立場で幼児教育や発達支援のアドバイザー、保護者や教職員の方等を対象とした研修講師として活動されています。
第3回の講座では支援の必要な子どもを取り巻く学校環境の変化、子どもの生涯を支える連携の仕組み等を学びながら、子どもや親への寄り添いについて考えていきました。

日野さんは、家庭教育支援(親支援)という大きな役割の中で、子ども(発達障害を持つ)のことを理解して親に関わることがとても大事で、親と支援者が同じ思いの元に子どもを支援することが子どもの成長や自立につながると話されました。

そして、「子どもは育つ存在であり、支援され続ける存在ではない」と語られ、何に困りどうしてほしいのか『子どもの中にある答え』を見逃さず、子どもの力を信じることが私達大人には必要と呼びかけられました。


ワークの様子グループでの話合い

グループでの話合いグループでの話合い


講座の中で、発達障害の子ども達の『著しい困難』という状況を体験しました。
加工された画像を見て答えをみつけるワークです。早くわかった人もいれば、なかなか答えがわからない人も。その後グループに分かれて、わからない時の気持ち、わかった時の気持ち、その時どうして欲しかったのかを話し合いました。

日野さんは「わからない時の不安や焦り、もどかしさを体験したワークの時間、私達大人はじっと考えることができましたが、上手く言葉で伝えることができない子ども達は態度で表してしまいます。そんな子どもをみたらどんな言葉をかけますか?」と参加者に尋ねられました。

「大切なことは困っている子ども達と同じ土俵に立ってあげること。それで子ども達は救われます。そして、弱い点を補う手立てを子どもと一緒に探しましょう。自分だったらどんな支援がいいかを考え、子どもとの関係を大事に育みましょう」と話されました。

参加者からは「ワークで画像に何が映っているのかわからない時はとても困り感を感じた。これが子ども達の見え方なんだと体験できてよかった」という声が寄せられました。


まとめの会場の様子


発達障害は脳機能の障害です。発達障害の定義、それぞれの特性による困難の背景とそれに適したサポート方法についてもじっくり学びました。また、子どもは年齢相応の発達をしています。そのため教育的ニーズ(子どもが困ること・課題)も変化すると日野さんは言われ、「その時に必要な援助を必要な形で必要な子どもへ行うことが大事です」と呼びかけられました。

さらに、学校現場での体験から「発達障害の子ども達の誰ひとりとしてはじめからわからなくていいと思っている子はいません。子どもが困ることはできないことによって与えられる自分への負のメッセージ。わからない、できないというマイナスの気持ちを引きずらせないために、子ども達の気持ちを否定せずに引き出し、しっかりと受け止めてあげて」とアドバイスされました。

また、障害のある子どもを生涯にわたって支援していくための、縦の連携 (時間的:子どもへの支援が「場」によって分断されない) と横の連携 (空間的:一人の子どもの育ちがいろいろな「場」で見守られている) の必要性を示されました。

『子どもの行動は言葉、答えは子どもの中にある』という日野さんの言葉に、子ども理解に基づく関わりの大切さをあらためて学んだ時間となりました。

講座の感想(アンケートより抜粋)

・困った時に周りの人に頼れるようにこちらが環境をつくり、成功体験を重ねることが大切ということが心に残りました。

・ワークでみんなと同じことができない気持ちを無条件に理屈ではなく理解することができました。

・一番困っているのは子ども自身であること。そのことを支援者はきちんと理解しなくてはいけないと思いました。

・子ども達の顔を思い浮かべながら聞いていました。これまでの関わりを反省したり、これでよかったのかなと思ったり…。

・子どもの発達支援は一人ひとり違うので、個々の特性に応じて行うことが大切。「答えは子どもの中にある」この言葉がとても好きでした。


トップへもどる