家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第2回報告

リーダー研修 親と子の未来を育むためにできること~家庭教育支援の今を考える~

今年度より家庭教育支援者リーダー等養成講座は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数に応じて「支援者養成講座」と「リーダー研修」に分かれて受講できるようになりました。

今回のリーダー研修(活動年数3年以上の方対象)は、様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、私たちにできる子どもや親の育ちを支える家庭教育支援について共に考え、学び合う連続5回講座での開催です。


「リーダー研修」のチラシはこちら (975KB; PDFファイル)

第2回 守られていますか?「子どもの権利」                    ~子ども主体の遊びから考える~

開催日時:11月25日(木)13時30分~16時30分

講師の山下先生

講師:山下智也さん(北九州市立大学文学部人間環境学科准教授)


講師の山下さんは、平成16年に福岡市箱崎商店街の一角で『きんしゃいきゃんぱす』という子どもの遊び場を立ち上げられ、現在も大学生や遊び場の卒業生達と活動に取組まれています。

「子どもの遊びの見守りの大事さを共有して、この講座が終わった後に、子どもと遊びたいなと思ってもらえれば」と参加者に語りかけられ、講義が始まりました。


絵足し算ワークの様子ワークの絵


はじめに取組んだ『絵足し算』ワーク。自分の絵にグループの人が自由に絵を書き足し、色を加えたりして、再び自分の手元に戻ってきました。「わー、こんな風になった!」と大いに盛り上がったワークですが、ここには、他人が入る隙間をつくれているか、変わることがおもしろいと思えるかなど『子ども主体』に関わるヒントが隠されていました。


『遊び』は子どもの権利の4つの柱にある『発達の権利』に含まれています。山下さんは「遊びは子どもが自分を示す行動で、遊んでいることは生きている証拠。大事な権利の一つ」と話されました。一方で、子どもが遊ぶことを『うるさい、危ない』という見方をする人もいるので、そこは対立を生まずに『子どもの遊びって大事ですよね』という思いを、私達大人が共有していくことが大切と述べられました。

また、『遊ぶ権利』を考える際、『遊ばせなければ』という思いになりがちですが、「遊ばないことも(本人がどう過ごしたいのか)子どもにとって大切な権利」と付け加えられました。


グループワークの様子語り合う様子


山下さんは「私自身、本当の意味での子ども主体の遊びってどういうことだろうとずっと考えています」と話され、『子ども主体の場(遊び)になるために大人はどのように関わればいいの?』というテーマでワークに取組みました。日ごろの活動を振り返りながら、参加者の皆さんは思いついたアイデアをどんどん付箋紙に書き出していかれました。


発表の様子板書の様子


発表では、子どもに対しての関わり方として『見守る、聴く、子どもにまかせる、大人がルールをつくらない、肯定する、暇そうにする』など、様々なアイデアが紹介され、現場で実際にやってみようという皆さんの熱意が伝わってきました。

山下さんはワークの発表を受けて『先入観の脱却、隙間、大人の居方、アフォーダンス』のキーワードをあげられました。

先入観の脱却…先入観を持たずに子どもの心をみる。「もしかしたら」と気づくものがあるかもしれない。

隙間…子どもが入ってきやすく、疎外感を感じず、居つくことのできる環境をつくる。

大人の居方…どのようにして居るか。大人が遊びに没頭しつつも、子ども達への視野を広げておく。

アフォーダンス遊びの展開はアフォーダンスの連続。子どもが環境からアフォード(提供する)される行動を大切にする。(人々は、環境から意味を読み取りながら行動している)

アフォーダンスとは<afford=提供する ➡ 【造語】affordance>


また、子どもが居つきやすい環境づくりには『ゆるさ』や『雑然感』もポイントの一つ。行きやすさや入りづらさを認識したうえで、空間をどうつくっていくのか配慮が必要とアドバイスされました。

それぞれの活動現場において子ども主体の遊びの種を見逃さず、その遊びを保障していくことが、遊びの権利を守っていくアプローチになることを学びました。

講座の感想(アンケートより抜粋)

・子ども達の居場所や遊び場の中で社会性や思いやり、つながりを学ぶことがよくわかりました。

・写真や動画を見ながら同じ気持ちを共有したり、ワーク中心の温かい雰囲気での学びの時間が楽しかったです。

・先入観をもたない。子ども主体は子どもにゆだねてみる。余裕を持って暇そうな感じでいたいと思いました。

・色々な職種の方の現場での話を聞くことができ、理想と現実の違いも目の当たりにしました。でも、出来ることをしていこうという気持ちをもてるアドバイスをグループの方からもらえて勉強になりました。

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