令和3年度家庭教育支援者リーダー等養成講座

家庭教育支援者リーダー等養成講座(支援者養成講座) 第3回報告

親子への寄り添いから始まる家庭教育支援


今年度より家庭教育支援者リーダー等養成講座は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数に応じて、「支援者養成講座」と「リーダー研修」に分かれて受講できるようになりました。

支援者養成講座として初となる今回のテーマは「親子への寄り添いから始まる家庭教育支援」です。

活動経験年数が3年以内の方、また、これから活動したいと考えている皆さんと一緒に、支援者として、また地域の一人として親子に寄り添い続ける支援について考えていきました。


チラシはこちら (762KB; PDFファイル)

第3回「家庭教育支援の可能性~これからわたしにできるコトを考える~」 12月17日(金)開催

10月より続いたこの講座も、いよいよ最終回を迎えることになりました。

受付後の会場では、これまでの交流で少しずつ顔なじみになっていた受講者の皆さんがにこやかに話をしている姿がみられました。名残惜しい気持ちを抑えながら最終講義スタートです。

      

講師:田口 香津子さん(佐賀女子短期大学学長)


講師としてお迎えしたのは第1回に続き、田口香津子さん(佐賀女子短期大学学長)です。

講義に先立ち、田口さんはこの連続講座のゴールを示されました。

これまでの講義の中で学んできたことや、第2回講師の林真未さん(ファミリーライフエデュケーター)が話された「支援者と支援を受ける人は対等で親しい関係を築くことが必要」「カナダの家族支援の合言葉 make A difference=ちょっとだけ変えよう(一人の力は小さいけれど、行動を起こすことで少しずつ社会を変えていこう)」という内容を受けて、これから行うワークショップでそれらを体感し想いをカタチにして、今より一歩先に進んだ自分になる時間を持つことです。

そのゴールに向かうために、田口さんは皆さんに伝えたいことをミニレクチャーとして話されました。

  • ミニレクチャー(1)

相談援助の基本でもある「バイスティック7原則(個別化、意図的な感情表出、統制された情緒的関与、受容、非審判的態度、自己決定、秘密保持)」について、事例を交えながら一つひとつ説明をされました。


その中の一つ「個別化」とは、「母」や「〇〇ちゃんのママ」などのカテゴライズした見方でなく、誰もが持つ「個人としてみてもらいたい、大切にされたい」との想いを尊重することだそうです。

田口さんが実際に訪ねたことのある子育てサロンを例に挙げられました。

そのサロンでは、参加した母親自身ができることや得意なことを対話から引き出して、つながりを広げていき、その人が再び自信を持つことで就労にまでつなげるなど、長い期間で寄り添いが行われていました。

母親の役割のサポートにとどまらず、その人の自己実現のために人生丸ごとを応援することができる場となっていることに、田口さん自身も新鮮な感じがしたそうです。


他に、怒り憎しみなどの感情さえも受け止めて、目の前の相談者の欲求を受け止める「意図的な感情表出」、

その人自身が、自らの行動を決定していくプロセスを支えていく「自己決定」にも触れられました。

「秘密保持」については、相談者の支援者に対する安心感や信頼感が重要であることを前置きされた上で、必要な時はしかるべき所へ守秘義務の共有や通告義務などの展開もあり得ること、それでも「あなたの了解なしに無断で他言することはない」と相手に理解してもらうことの大切さを伝えられました。

  • ミニレクチャー(2)

続くレクチャーでは、バイスティック7原則の「統制された情緒的関与(支援者自身の感情を自覚し良く考えてから相談者に対応すること)」について、田口さんが過去に担当した問題を抱える子どもの事例を話されました。その子は、田口さん自身の安心感のために発する言葉や疑念に対してはすぐに見透かして敏感に反応する一方、やってはいけないような問題行動を遊びに変えてとことんつき合うと、こだわりがスッと解けて素直になるということを繰り返したそうです。

「自分の土俵に相手を乗せようとすると相手は抵抗するが、相手の土俵に乗った時はこちらの想いを汲んでくれる。支援者は自分の心の動きと向き合いながら葛藤するが、相手が自身で決定し行動していくとお互いに信頼を増す」との田口さんの言葉は、受講者に深い印象を残したことがアンケートから窺えました。 

  • 寄り添いエピソード

続いて、皆さんが体験してきた「寄り添い」を話してもらうグループワークです。

話し手は相手に伝わるように表情や視線、姿勢、声のトーンにも意識し、聞き手は傾聴していることが伝わるように、また、感じたことや感謝の気持ちを伝えるということに意識しました。

話が進むうちに話し手の表情からは緊張が解け、聞き手は身を乗り出して全身で話を聴いている姿がどのグループからも見られ、みんなが「寄り添い」を体感している柔らかい雰囲気が会場中に溢れていました。


       


  • 「これから私にできるコト」

最後に、受講者一人ひとりが、みんなの前で実現可能で具体的な行動を一つ宣言し、想いをカタチにする時間を持ちました。これまでの活動の中で重ねてきたこと、あるいは困り感、受講によって気づいたことなど全部の想いをひっくるめて、明日から一歩進んだ自分になるための宣言です。

宣言後は、会場の全員が書いてくれた応援メッセージの付箋を、自身が宣言した言葉と共に一枚のボードに貼って、持ち帰った後でいつでもこの時間をふりかえることができるようにしました。

この日、参加した全員が受講者同士の応援や励まし(サポート)を一身に受けて、自身の心の変化を感じると同時にエンパワーメントを高めることができたようでした。


 


最後に田口さんは「多くの人が自分のことは後回しになりがちです。この講座を通して『一人じゃない』と感じることもあったのではないでしょうか。今回皆さんが実際に体感したことを、周りの方に広げていってくださいね」とエールを送られました。


  • 修了証交付

この連続講座を全日程参加した方に、熊﨑アバンセ副館長より修了証が手渡されました。

授与された15名の皆さま、おめでとうございます!

熊﨑副館長からは「この講座で共に学ぶ仲間を得たことも成果ではないでしょうか。思うようにいかない時は皆さんの顔を思い出し、相談するとヒントを得られるかもしれません。このつながりと向上心を持って、ぜひ次のステップへ進んでください」との話がありました。

佐賀県立生涯学習センターでは、これからも皆さんの活動を応援し続けます!


       




 受講者の感想から(一部抜粋)


・参加者の皆さんの想いや意見を直接聞けて本当に良かったです。たくさんの感動と気づきを頂きました。

・3回の講座を通じて考える機会をたくさん頂きました。受講者の皆さんの想いや言葉のシャワーに浄化されました。

・この先もずっと向上心を持って保育・支援の勉強をしていきたいと改めて思いました。

・私にできるコト、実現可能な行動宣言、皆さんからの応援メッセージなどとても嬉しかったです。

・“寄り添い”と一言で言っても、様々な寄り添い方があることを学べました。

・「これから私にできること」の発表で皆さんから沢山の励ましを頂きました。それをふりかえるファイルは私の宝物になります。心の栄養がたくさんたまりました。

・みなさんの温かいまなざしと考えにとても触発されました。自分自身への温かいメッセージがとても嬉しく「頑張ろう!一人じゃない!」と強く感じました。

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