令和3年度家庭教育支援者リーダー等養成講座

家庭教育支援者リーダー等養成講座(支援者養成講座) 第2回報告

親子への寄り添いから始まる家庭教育支援


今年度より家庭教育支援者リーダー等養成講座は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数に応じて、「支援者養成講座」と「リーダー研修」に分かれて受講できるようになりました。

支援者養成講座として初となる今回のテーマは「親子への寄り添いから始まる家庭教育支援」です。

活動経験年数が3年以内の方、また、これから活動したいと考えている皆さんと一緒に、支援者として、また地域の一人として親子に寄り添い続ける支援について考えていきました。


チラシはこちら (762KB; PDFファイル)

第2回 「家庭教育支援の活動をしている方、そしてこれから活動したいすべての方へ」 11月28日(日)開催

2回目となるこの日は、講師に林真未さん(カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター・NPO法人手をつなご理事・東京都公立小学校教諭)をお迎えし、連続受講者だけでなく関心のある方ならどなたでも受講できる公開講座として開催しました。

東京の林さんとアバンセ会場やオンライン参加の受講者が、双方向でのコミュニケーションを図る場となるように、ビデオ会議システム「Zoom」を使用したハイブリッド型で開催しました。

講師:林 真未さん  (オンラインでの登壇)

(カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター・NPO法人手をつなご理事・東京都公立小学校教諭)


最初に「家族の定義」について皆さんと考えてみました。

林さんは、自身が学んできたカナダの家族支援職のテキストや精神科医が唱えた言葉を紹介しながら、「本人がその人を家族と思えば家族」というシンプルな考えにいきついたそうです。

そこを踏まえて、家庭教育支援や子育て支援をも包括した、全ての家族に対するあらゆるサポートを家族支援と位置付け「支援する際に、自分は家族支援のどこ(誰)を対象に担っているのかを意識して、活動を続けてほしい」と話されました。

また、自分の目的を持ち続けて支援を継続するために、常に意識することを次のように紹介されました。

(1)手段を目的化しない(手段は目的のためにある)

(2)効果を常に意識する

(3)私生活/仕事とのバランスを保つ

また、カナダの家族支援の合言葉「make A difference=ちょっとだけ変えよう(一人の力は小さいけれど、行動を起こすことで少しずつ社会を変えていこう)」とマインドに触れ、ファミリーライフエデュケーターの活動や予防教育の必要性を感じました。【ファミリーライフエデュケーター…家族支援の中の1ジャンルで、予防教育的手法を使う家族支援者を指す】


    


続いて林さんが挙げられた過去の事件や社会情勢の問題では、若者・子どもたち・家族などが大変な状況にあるのは今に始まったことではないと改めて知ることになりました。

いつの時代でも支援は必要であり、親への信頼が欠かせないこと、支援者と支援を受ける人は対等で親しい関係を築くことが必要なこと、オーダーメイド(個々にあった支援)であること、その人自身が自分の足で立つことを応援することなど、理念を一つひとつ解説されました。

また、持っている人・モノ・場所などの資源をアセットマッピング(資源地図)で活用していくことや、限りある資金を効果的に使う方法として、地域の中でお互いに講師として招き合うなど、林さんが持っている経験や知識を具体的に余すところなく受講者に伝えられました。 



    





  • 教えて!林先生/地域のリソース(資源)見つけよう!

講義の後半では、受講している皆さんが日々支援する中で感じている疑問や悩み、講義への質問やもっと聞いてみたいことなど、双方向でざっくばらんに語り合う時間を持ちました。

最初は遠慮がちに質問していた皆さんでしたが、支援者という同じ目線からの林さんの回答やアドバイスに、次第に心の内にある行き場のない苦悩なども話されるようになりました。

それぞれ所属は違っていても、支援に携わる中で感じる難しさや悩みが似通っていることに気づき、深く共感している様子がアンケートからも伺えました。

≪皆さんの質問や感想から一部抜粋≫

Q.保護者を不愉快にさせない子どもの発達状態の伝え方に悩んでいます。

A.療育を受けるかどうかを決めるのは保護者です。療育のメリットなど、すべて情報提供をしてください。お互いを尊重し合い自分の心の中を伝える「アサーティブコミュニケーション」をお勧めします。


Q.予防的観点で関わっていたいと思う重篤な保護者や家庭もあるが、接し方に日々悩んでいます。 

A.本来、受入体制ができていないところへ行くのがアウトリーチですが、日本では浸透していないのが現状です。そこにあるのは「今、私が介入することによってこの家庭は必ず幸せになる」という確固たる信念です。それもアサーティブコミュニケーションではないかと思います。

Q.予防的手法のニーズを見極めることをもう一度話してほしいです。

A.在宅で子育てしている人には子育て広場など、特別なケースでなくても地域を見渡せば必ずニーズはあると思います。貧困や虐待までいかない人にも広場は予防的な場となります。一時預かりや保育所など、いろいろな場の中で親に理解や悩み吐き出すように促すこともあります。


Q.元保育士です。子育て支援の場に来れない人が一歩を踏み出すために、どのような声かけをすればいいのか悩みます。

A.子育て、保育、子育て支援、これらはまったくの別物です。そう理解しておくと、支援者の皆さんも少し楽になるのではないでしょうか。カナダでは人と繋がるために足でかせぐという考え方もあります。支援する場のチラシをいつもバッグの中に忍ばせてください。

他にも林さんは「ただの主婦という言葉はありません。子育てのプロです」「支援とはその人が自分の足で立つことを支えていくことです」「レスパイト(一時預かり)は乳幼児を育てるうえでとても必要なことです」など丁寧に答えていただきました。そうしてたくさんの語り合いや、林さんからの的確なアドバイスやエールを受けた皆さんの表情は明るくなったように感じました。


 受講者の感想から(一部抜粋)


・会場やZoomでの質問・意見交換の時間はとても勉強になりました。支援は支援された人が自分の足で立つことを応援すること、一時預かりは乳幼児の親にとってはとても大事、対等で親しい関係でお互いが傷つかない関係で支援すること。貴重な時間になりました。

・いろいろな視点からたくさんの声を聞くことができて学ぶところが多かったです。林先生からパワーをたくさんいただきました。

・自分の仕事上で活かせると思うことがたくさんありました。他の参加者の方の意見も聞けて良かったと思います。傾聴から行動にうつすことは難しいかもしれませんが、一歩ふみ出してみようと思います。

・家庭教育支援は対等で等しい関係を築くことが大切であること、思ったことはアサーティブコミュニケーションで伝えることが大切であることを知りました。

・支援とはその人自身が自分の足で立つことを応援すること、対等で親しい関係を築くことが大切、子育て・保育・子育て支援は本来違うものということを忘れない!大切なことをたくさん教えていただきました。

傾聴だけでなく対等な関係であることも必要。信頼関係が構築されたら、対等な関係での伝え合いや支援ができるので関係づくりに努めたいと思います。

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