令和元年度「女性に対する暴力防止講演会」を開催しました

DV加害者の更生に向けて ~臨床現場からの提言~

「女性に対する暴力をなくす運動」期間に合わせ、女性に対する暴力防止講演会を開催しました。今年度は、DV加害者などを対象にした脱暴力への更生に関わられているお二人の講師に、これまでの取組や被害者支援の一環として加害者更生プログラムの今後の在り方などについてお話いただきました。


 日時:令和元年11月15日(金)13:30~16:30   会場:アバンセ 4階  第1研修室


【講演】

 演題「被害者支援にとっての加害者問題の理解-脱暴力への私の提案と実践」

 講師:中村正さん(立命館大学大学院人間科学研究科/産業社会学部教授)


【パネルディスカッション】

 テーマ「加害者更生プログラムの具体的取組に向けて」

 パネリスト 中村正さん・佐藤紀代子さん(ながさきDV加害者更生プログラム研究会副代表)

 コーディネーター 原健一(佐賀県DV総合対策センター所長)      

          dv

 

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中村正さん       dv

 1994年にアメリカに行き、主に虐待とDVの加害者対策の調査をしていた。諸外国では、DVや虐待、ストーキングなどの場合、一旦関係者を分離し、その間、加害者には社会奉仕命令や加害者更生のためのプログラム等の受講命令などの制度がある。この時、アメリカは既にこの受講命令が作動していて、そのセオリーも十分発達していたため、加害者に関するデータもたくさんあり、仕組み作りについての研究も進んでいるところである。学会などもあり、論文もたくさん出されているが、日本にはそのような仕組みがないということもあり、早い段階からこのような研究や実践を行っている。

 

 刑務所で、加害者と関わっていて一番難しかったのは、『暴力的だったことは認めるが、加害を認めない』というところで、懲役を受けているにも関わらず、俺は悪くないと平気で言う人もいる。加害者更生の第一歩はきちんと加害者になるということである。

 サンフランシスコの警察署でもらったポスターに「暴力は学習された行動です。」と書かれており、更に「学習されたものならば、そぎ落とすことが出来る。」と書かれていた。学習されたものならば、そぎ落とすことが出来ると、一応、理論的には考えて、そういうプログラムを提供することになり、それが全世界に広がっていったのだが、この時、日本はDV防止法も保護命令制度も接近禁止命令もなかった。DVという言葉もなく、それは夫婦げんかで、虐待もしつけの一環だったし、もちろん面前DVという言葉もなかった。そこで、こどもを虐待する男親たちのグループである「男親塾」を作り、自らの行動を振り返り、虐待のない家庭を取り戻すためのグループワークを行っている。


 いずれDV加害者更生のプログラムも出来るだろうが、プログラムがあればいいという訳ではない。プログラムが加害者を変える訳ではなく、一連のプロセスや流れ、それから支える地域の力がないと、どんな立派なプログラムを作っても意味がないと思っている。しかし、ないよりあったほうがいいので、色々な論議をしているところである。 

 

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佐藤紀代子さん 

 dvながさきDV加害者更生プログラム研究会の活動は、加害男性に対するプログラムの提供と運営がメインで、そのほか地域に向けてこのプログラムについての啓発を目的とした研修会などを企画している。ほとんどのDV加害男性は、身体的な暴力だけが暴力だと思っており、自分は暴力をしていないと思っているケースが多いため、言動や態度など、まずどのようなことが暴力であるかを伝えている。


 今はDVの被害者支援は逃がして保護する支援だが、SNSの発達にともない逃げる事を支援するという事に限界がきていると常日頃感じている。そういったことがあり、DVをする人に暴力をやめてもらう必要があると考えたことが活動するきっかけである。そして、DVによって傷ついた子どもたちが暴力をしない大人になるために、そして暴力に巻き込まれない大人に成長するためにも、DV加害者更生プログラムは必要であると考えている。


 加害男性の地元の友達から、「出て行った妻に原因があり、おまえは悪くない」と言われるなど、暴力容認的な地域はまだ多く、プログラムを受けても地域にDVの土壌があると結局何も変わらないので、地域全体で非暴力化がどういうことかを考えていく必要がある。

          

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 < 参加者の声(一部抜粋) >

  • 加害者更生についての講義を初めて受けたのですが、とても有意義なものとなりました。今後の支援につなげていきたいです。
  • 加害者更生は、本当に必要だと感じます。大人・親になっていない大人のいいわけを最近よく耳にするので自分自身の勉強になりました。
  • 先生のこれまでの経験の中からお話しいただいたことは、とても説得力があり、わかりやすかった。加害者プログラムの実際の様子についても知ることができてとても参考になった。「暴力」について、今の日本の現状について考えるよい機会となりました。
  • このようなプログラムを実施されている事を勉強でき、しかし地域をまき込んでのプログラムとなると徹底した周知、賛同が必要だと思いました。とても勉強になりました。
  • プログラムに自ら参加する人は改善の余地があるといえるでしょうが、被害者が申し出ることもできない状態にある場合の救済措置を考えるべきだと思います。プログラムの効果についても検証し、その結果を再犯防止につなげる方策も必要ではないかと思います。

【主催】佐賀県  【主管】佐賀県DV総合対策センター 

【後援】佐賀県警察本部、佐賀県医師会、佐賀県弁護士会、一般社団法人佐賀県公認心理師協会、

    公益社団法人佐賀県看護協会、認定NPO法人被害者支援ネットワーク佐賀VOISS、

    国際ソロプチミスト佐賀有明、国際ソロプチミスト佐賀、

    特定非営利活動法人NPOスチューデント・サポート・フェイス(順不同)

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