令和6年度 佐賀県立男女共同参画センター開館30周年記念講演 男女共同参画フォーラムを開催しました

「わたしが紡ぐ、わたしらしい生き方」

今年度は、アバンセ開館30周年事業の一環として、男女共同参画フォーラムを開催しました。

  • 日時:令和6年11月9日(土)14時00分~16時00分
  • 会場:アバンセホール
  • 主催:佐賀県立男女共同参画センター

 第1部 スペシャルトーク「わたしが紡ぐ、わたしらしい生き方」

<トークゲスト>

pecoさん(タレント・ブランドプロデューサー)

<インタビュアー>

大鋸あゆりさん(伊万里ケーブルテレビション株式会社 代表取締役)

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1部は、pecoさんをトークゲストにお迎えし、大鋸あゆりさんによるインタビュー形式でスペシャルトークを実施しました。

今回は、事前に参加者の皆さんから寄せられた、pecoさんへの質問やメッセージを織り交ぜて、性別や見た目、年齢などできめつけない、「わたしらしい生き方」やジェンダー平等について、お話いただきました。

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  • 自分らしさとは
    「自分らしくいよう」と意識するのではなく、「好きなものは好き」と自分に正直に生きてきた。ありのままが「自分らしい」とは思わないし、ただ、自分がなりたい自分をめざして進む姿が「自分らしさ」だと思う。
  • 「らしさ」と仕事
    ファッションブランドのプロデュースは、ブログやSNSがきっかけで、20歳ぐらいから始めた。ずっと好きだったファッションの夢が実現し、本当に嬉しかった。そのブランドには、一旦区切りをつけて、洋服が好きだから、いつか再開したいと思っていた時に、声がかかり、現在のブランドを始めた。大好きな1980年代から90年代のアメリカンカルチャーを取り入れて、見た目だけでなく、どんな体形でもどんな格好でも、自分のファッションに自信を持って堂々としている姿やその考え方に魅力を感じ、その考え方をブランドの中心に置いている。年齢問わず、洋服を着ている人の魅力をアップし、ハッピーにしたい。
    好きなことを仕事にすると、ただ「好き」だけではできないこともある。その時は、自分が大好きな洋服のことを嫌いにならないように、「好き」という気持ちは一番大事にしている。仕事だから妥協しないといけない場面もあるが、「ここだけは譲れない」ということを大切にしていて、自分の好きなことや自分の気持ちを守るためにも必要。

  

  • 結婚・妊娠・出産・子育て・家族について
    結婚・出産がすべてではないし、人それぞれの幸せの形がある。自分は、子どもと出会えてさらに強くなったし、今まで知らなかった自分に出会え、成長させてもらった。子育ては、ママとかパパが一方的に頑張らなきゃいけないと思いがちだけど、子どもを育てている経験から、「子どもと一緒に成長できるから大丈夫」と言いたい。自分自身は、子どもとも、「バディ(同志・仲間)」という感じで、お互いに助け合う関係でいる。特に大事にしているのは、自分の中のハードルを低くして、自分自身の褒めるポイントを見つける。例えば、「毎朝起きてるだけで本当に偉い!」というように、自分で自分をいっぱい褒めて、心の余裕を生み出すことが大事。

 

  • 多様性やジェンダー平等について意識していることは?
    子どもが0歳の時から「男の子は○○」「女の子は○○」という言葉は、絶対使わないようにしている。子どもと買い物する時も、「どれにする?ピンクでも、赤でも、青でも、何色でも選んでいいんだよ。」というように、選択肢を必ず与えるようにしている。そうしたら、子どもが、「女の子でも男の子でも、どれでも選べるよね。」と言ってくれた時は、自分の考えが伝わっていて嬉しい。
    「ジェンダー平等や多様性を認める世の中にしよう」という大きなことをゴールにめざすのではなく、まずは、自分を大切にして、金子みすゞさんの作品のように「みんなちがって、みんないい」という身近なことを心にとめて過ごす方が、ジェンダー平等や多様性を認める世の中に近づく。

 

pecoさんは、ご自身の経験や考えを、等身大の分かりやすい言葉で伝えてくださいました。参加者からは、「明るいことば、ポジティブな考え方にとても励まされました」や「お話が心にすーっと入ってきました」などの声が寄せられました。

 

第2部 パネルトーク「らしく、あたらしく みんなで考えるジェンダー平等」

<ゲスト> pecoさん

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<パネリスト>

大鋸あゆりさん

松信明莉さん(Mimosequal(ミモザイコール)メンバー)

久米弘さん(北陵高校 教諭)

<コーディネーター> 田口香津子(佐賀県立男女共同参画センター 館長)

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第2部のパネルトークでは、パネリストのみなさんに、日頃の活動や仕事を通じてジェンダー平等に取り組んでこられたことをご紹介いただき、pecoさんとパネリストのみなさんと一緒に、これからのジェンダー平等について考えました。

  •  大鋸あゆりさん(伊万里ケーブルテレビジョン株式会社 代表取締役)

R6フォーラム写真06大鋸さんからは、社内で初めて育児休暇取得するのを機に社内規定が整備されたことや、育児休暇復帰後のご自身の働き方が変わらざるを得なかったこと、取締役になると、その経験を活かし、段階的に社内の環境整備に取り組まれたことをご紹介いただきました。時間単位の休暇の取得推進や、時差出勤制度を導入されたきっかけと利便性の向上、男性の育児休暇取得の推進などで、少しずつ、働き⽅の変化を受け入れる社内の雰囲気が醸成されてきたとお話いただきました。さらに、リモートワークも推進されており、「いろんな社員の可能性を広げていける会社にしていきたい」と述べられました。


  • 松信明莉さん(Mimosequal(ミモザイコール) メンバー)

R6フォーラム写真07松信さんからは、高校生になった頃からジェンダー問題に関心があり、現在は、佐賀でジェンダー平等をめざす団体「Mimosequal(ミモザイコール)」のメンバーとして活動し、その団体の活動やカナダ留学を通じて得た学びを紹介していただきました。「ジェンダー問題は、男女ともに考えるべき問題であり、地球規模の問題であること。一部の国や発展途上国の問題ではなく、先進国の中にもある問題である」とお話いただきました。




  • 久米弘さん(北陵高校 教諭)

R6フォーラム写真08久米さんからは、現在の高校で、先輩からの声掛けがあり家庭科を教えるようになったことや、当時あった同僚からの心配の声、生徒への指導の中で意識されていることなどをご紹介していただきました。特に、生徒には、「家庭科は生きるうえでは必要なこと」と意識して教えていて、教え子が家庭科教員をめざして進学されていることに喜びを感じているそうです。「家庭科教員のように、女性が多い職種に男性が増えると男女平等な社会に一歩近づくと思う」とお話いただきました。





そして、最後に登壇者のみなさんより、参加者のみなさんへ向けて「これからめざしたいジェンダー平等な社会や目標」についてメッセージをいただきました。

  • 「気づき変えよう!」 大鋸あゆりさん

    「変える」ためには、まず「気づく」ことが重要で、「気づく」ためには視野を広く持つことが必要。現在の情報収集の⼿段はスマートフォンが主流になっていて、気づかないうちに⾃分の関⼼のある情報や自分の意見に近い情報ばかりに触れていたり、真偽が定かではない情報を収集していたりする可能性がある。世の中の動きを俯瞰できる新聞を読んだり、ラインナップに偏りのない図書館の本を読んだりして、「気づく力」を身につけていきたい。

  • 「ジェンダー問題は、あなたの問題」 松信明莉さん
    ジェンダー問題は女性だけの問題でもなければ、途上国の問題だけでもない。地球全体が対話を通じて話し合うべき問題。性別とか世代に関わらず、ジェンダー問題について考えることで、前進できると思う。もう一つは、「行動することを恐れないで」というメッセージを伝えたい。ジェンダー問題だけでなく、モヤモヤすることや葛藤が生まれる時に、自分だけのものでもなく、周りの他の人も立ち向かっていると思うので、無理せず、行動に移すということを恐れずやっていくと、より良い社会になると思う。
  •  「好きな授業 家庭科」 久米弘さん
    家庭科の教員をしていると、生きる力をつけるのには、家庭科が一番だと思う。例えば子育てなど、男女関係なく、一緒に何かをするということを繰り返していけば、男女差というのがなくなり、より良い社会になると思う。
  •  「ひとりひとりが『人それぞれ』を忘れず、お互いを尊重することを大事にする」 pecoさん
    今日は、多様性とか男女平等とかのお話がたくさんあったが、まずは、「男だから」「女だから」とかではなく、「どういう人か」とか、そもそも「人として」ということを忘れずに、相手の一人一人ことを大事にして、きちんと尊重することを、私は、これからもやっていきたい。

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【参加者の声】(一部抜粋)

  •  多様性、ジェンダー平等と言葉だけが、昨今、一人歩きをしていると感じていたので、お話を聞いて、「まず、自分を大切にする」ことが理想に近づく第一歩だと共感しました。多様性、ジェンダー、SDGsなどの言葉をわざわざ言わなくてよい社会をめざしたいですね。
  • pecoさんの言葉が心にしみました。私も子育て中ですが、「子どもに成長させてもらっている」その通りだなと思いました。パネリストの方も話も上手だし素敵でした。息子と参加できて大変よかったです。
  • pecoさんの自然体で柔らかな話し方と、凝り固まらない考え方に、素敵だなと感じながら参加させていただきました。「自分を大切にすることで人の良さも見られるようになる。」同感です!!
  • pecoさんのお話聞いて、ジェンダーの考え方が変わった。
  • ジェンダー問題は女性だけの問題ではない、ということがはっきり認識されました。パネリストの方達の率直な思いを聞けて、とても有意義でした。
  • 医療の現場で働いています。まだまだ、平等とはいかないのが現状ですが、意図的に継続して自分から発信していきたいと感じます。

 令和6年度 佐賀県立男女共同参画センター開館30周年記念講演 男女共同参画フォーラム チラシ (1565KB; PDFファイル)

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