令和4年度学生への意識啓発事業を開催しました

男女共同参画と、その先へ ~みんなが幸せな社会とは~

令和4年度の「学生への意識啓発事業」は、西九州大学との共催で、男女共同参画・ジェンダー平等の基礎を学ぶ講座を開催しました。

沖縄キリスト教学院大学 教授の新垣 誠(あらかき まこと)さんを講師にお迎えし、エネルギッシュで楽しいながらも真剣な講演をしていただきました。

講演でお話しいただいた内容を、一部抜粋してご紹介します。



【はじめに】
○持続可能な社会を目指すために、国連が定めた17個の目標、いわゆる「SDGs」でも、地球温暖化や貧困、食料問題と共に、男女共同参画・ジェンダー平等や人権について目標が決められています。
○この講座では、「ジェンダーとは何だろう?」という基礎的な知識を深めながら、ジェンダーが社会の大きな課題であり、私たちの身近な課題でもあることを理解して欲しいと思います。
○ジェンダーを考える上で、性的マイノリティの問題は重要ですが、講義の時間が限られているので、今日のところはまず「男と女の問題」に絞って考えてみます。


【ジェンダーとは?】
○「社会が作り出す男性・女性の概念」を「ジェンダー」と言い、各個人に刷り込まれたジェンダーへの意識を「ジェンダー意識」と呼びます。
○刷り込まれた意識によって、無意識に体が反応してしまうことがありますが、これを「アンコンシャス バイアス(無意識の偏見)」と言います。
○アンコンシャス バイアスに流されて行動するのか、アンコンシャス バイアスを意識して、流されないように考えて行動するのか、私たちは選択することができます。


【ジェンダー規範に縛られる私たち】
○アンコンシャス バイアスが「男は・女はこうあるべき」と、ルール化、マナー化されたものを「ジェンダー規範」と呼びます。
○ジェンダー規範が成立すると、社会から常に「規範に従え」というプレッシャーを与えられ続け、私たちはジェンダー規範に縛られることになります。
○特に、女性はジェンダー規範に縛られがちで、職場、地域、社会など様々な場面で息苦しく感じることが多いです。例えば、比較的にジェンダー平等が進んでいると言われる教育分野でも、高校における制服(スカート着用の義務)など、無意識にジェンダー規範が適用されています。
○実は、男性もジェンダー規範に息苦しさを感じています。社会の経済状況が悪くなると、男性の自殺率が上がるという統計があります。これは「男は仕事」「男は外でお金を稼ぐ」というジェンダー規範に男性が息苦しさを感じている証拠ではないでしょうか。
○仕事に邁進した結果、退職してから家庭に居場所がない男性が社会問題になっています。また、近年話題になっている熟年離婚も同様の事情でしょう。ジェンダーは個人の生き方にも影響しているのです。


【まとめ】
○ジェンダーについて考える時、「出生率の低下」「労働力の減少」「税収の減少」「社会保障費の負担」など、社会制度の問題という視点で見ることが多いのですが、「自分の問題」「自分とパートナーの関係性の問題」という視点でも見て欲しいと思います。
○また、社会制度の問題ではなく、「人権の問題」だという視点で見て欲しいと思います。ジェンダー規範によって、「女性は労働による充実感、自己肯定感や、社会参画の機会を奪われている」「男性は子育ての喜びや家庭への参画の機会を奪われている」という視点です。
○この視点を持てば、今回は触れなかった性的マイノリティの問題についても「性的マイノリティは人権を奪われている」という視点で理解できると思います。
○自分も他人も、ジェンダー規範から自由になることが、みんなが幸せな社会へつながって行くのではないでしょうか。



令和4年度は、同大学の子ども学科1年生を対象に実施しました。幼稚園教諭や学校教諭を目指す学生たちにとって、子どもに接する際の基礎を学ぶ機会になったのではないでしょうか。
抜粋記事では伝わりにくいのですが、さまざまな動画や静止画、ワークを取り入れた新垣さんの講義は説得力があり、ユーモアもたっぷりでした。


教室全体の写真 講師の写真


【主催】佐賀県立男女共同参画センター、西九州大学
(開催日:令和4年11月7日  会場:西九州大学 佐賀キャンパス 5201)

 

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