令和4年度ハラスメント防止啓発講演会を開催しました

さまざまなハラスメントについて正しい認識を身につけてもらい、ハラスメントのない職場づくりにつながることを目的に、より多くの方に参加していただけるよう録画配信形式で講演会を開催しました。

【配信期間】 令和4年12月1日(木)~12月15日(木)

【主催】 佐賀県立男女共同参画センター、佐賀県、佐賀労働局、女性の活躍推進佐賀県会議

【第1部】講演 「しない!させない!見過ごさない!それは、ハラスメントです!」

講師:三木 啓子さん(アトリエエム株式会社代表取締役/産業カウンセラー)

第1部_講演写真

第1部では、(1)ハラスメントは人権侵害である(2)ハラスメントをしない、させない(3)ハラスメントを見過ごさない(4)防止対策の4つの観点から、法律で定義のあるセクシュアルハラスメントとパワーハラスメントを中心に具体的事例を交えてお話いただきました。

講演内容の一部をご紹介します。


(1)ハラスメントは人権侵害である

セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)など、今では、30から40ものハラスメントがあると言われています。

ここまではセクハラでここからはパワハラですというように、ハラスメントをきっちり線引きすることは難しいので、ハラスメントを総括的に考えることが必要です。

ハラスメントは、「立場の優位な人からそうでない人への人権侵害」です。力を使って「支配」し「服従」させることがハラスメントです。誰もが加害者にも被害者にもなり得る問題です。傍観者になることが、ハラスメントをより悲劇にしてしまうため、ハラスメントは個人間のトラブルではなく、職場環境の問題・組織の問題として捉えていくことが重要です。


(2)ハラスメントをしない、させない

女性活躍推進法等を一部改正する法律により、労働施策総合推進法が改正され、ハラスメント防止措置が義務づけられました。主な改正のポイントは、悪質クレーム対策、職場のパワハラ対策、セクハラ対策、女性活躍の促進です。

付帯決議として、性的指向・性自認に関するハラスメントについて、アウティング(暴露)の防止も雇用管理上の措置の対象となることが定められています。

SOGI(性的指向・性自認)については、全ての人間を包括する概念です。本人の性的指向や性自認について、本人の了承を得ずに勝手に第三者に公表するアウティング(暴露)は絶対してはいけない言動で、人権侵害であり、命を奪いかねない行為です。

*SOGIとは、Sexual Orientation Gender Identityの頭文字で、性的指向と性自認のことです。

 

(3)ハラスメントを見過ごさない

ハラスメントの被害を受けた時、「それ、セクハラです!パワハラです!」と声を上げてください。声を上げられない時も、まずは、「いつ、どこで、だれから、どんな言動を受けたか」できるだけ細かく記録を取ってください。この記録が事実に基づいた客観的に判断する材料や気持ちを整理し冷静に考えることにつながります。

ハラスメントを受けると思考力や記憶力の低下を招き、体調不良やメンタル不調につながります。一人で悩まずに、上司や同僚、相談窓口担当者など誰かに相談してください。相談窓口や相談方法を知っていることが、抑止力につながります。職場内で相談しにくい場合は、外部のカウンセラーや男女共同参画センター、労働局へ相談してください。

ハラスメントの加害者は、自分がハラスメントをしているという自覚はありません。組織としてできることは、ハラスメントは人権侵害であることを認識し、人権尊重の組織づくりとリスクマネジメントの観点から、ハラスメントの加害者を排除するのではなく、ハラスメントの言動を排除していくことが重要です。

ハラスメントの相談を受けた時は、目の前で苦しんでいる相談者の話をきちんと傾聴し、プライバシーの保護と人権を尊重し、相談者と相談を受けた人の安全を守り、メンタルヘルスに注意を払います。重要なことは、セカンドハラスメントを起こさないことです。ハラスメント行為について組織として判定することは、もっと後のことです。

同僚がハラスメント被害を受けていたとしたら、周りの人で何ができるかを考えてみてください。ハラスメントをなかったことにせず、「もしかしたら?」と思ったら行動に移してください。

 

(4)防止対策として

セクハラとパワハラの根っこは同じで、セクハラのあるところにはパワハラもあります。公私のけじめをつけ、性別や雇用形態を問わず、個人の能力を適正に生かし、ハラスメントが起こった時に公平な対処ができる体制を作っていくことが必要です。

人権を尊重し、コミュニケーションを重視し、風通しの良い職場になるように、皆さん自身で考えてください。

 

最後に、「ハラスメント防止に向けて、教育・研修・啓発の推進、相談体制の整備、実効的なガイドライン(防止指針)の作成・整備等を充実するためには、ハラスメントに対して正しい知識・認識を持つ、適切な相談対応を行う(セカンドハラスメントの防止等)、アンコンシャス・バイアスの払拭など相手をリスペクトする職場をつくっていただきたい。」と視聴者へ呼びかけられました。

【第2部】情報提供 「職場におけるハラスメント防止対策」

説明:佐賀労働局 雇用環境・均等室

第2部_情報提供PPT表紙

第2部では、労働施策総合推進法の改正に伴い、職場におけるパワーハラスメント防止対策を講じることが、2022年(令和4年)4月1日からすべての事業主に義務付けられたことを踏まえ、ハラスメントの定義や事業主が講ずべきハラスメント防止措置、望ましい取組みを中心に説明を行いました。


第2部で紹介されたハラスメントに関する相談窓口や情報サイト

  • 佐賀労働局雇用環境・均等室
    電話 0952-32-7218
    (開庁時間 8時30分~17時15分 ※土・日・祝日、12/29~1/3を除く)
  • 職場におけるハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」(厚生労働省委託事業)
    ハラスメント裁判事例や職場のハラスメント対策に取り組む企業へのインタビュー記事、パンフレット・社内研修用資料・動画などが掲載されています。
    詳しくは、下記のバナーをクリックしてご覧ください。
    あかるい職場応援団バナー(←クリックすると外部サイトへ移動します)


【参加者の感想(一部抜粋)】
  • 講師の方と佐賀労働局の2部構成になっており、わかりやすい講演内容の後に公的機関からの堅い文言の説明があることで、とても信頼できる研修と思いました。
  • 三木先生が対応された実際のケースをうかがうことで、イメージが膨らませながら聞くことができ、あっという間でした。
  • パワハラの間接被害は身近な問題で、これもパワハラにあたることが確認できた。また長時間の叱責についても、やっぱりパワハラだなと確信できた。
  • 今年度、法人のハラスメント対策委員会に選出されたが、自分自身がハラスメントに関して知識が薄いと感じていた。今回の研修を受け、ハラスメントの基本的知識を理解することができた。
  • 普段あまりハラスメントについて考える機会がなかったので、改めて考えることができてよかった。知らないうちにハラスメントの種類が増えていて、初めて耳にする言葉があったので、調べてみようと思った。

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