令和4年度 男女共同参画フォーラム

佐賀県立男女共同参画センターと佐賀市の共催で、「男女共同参画フォーラム」を開催しました。


日時:令和5年2月12日(日)14:00~16:00 / 会場:アバンセホール 

開催方法:会場、録画配信(令和5年2月21日~2月28日配信)

テーマ:女らしさって?男らしさって?「聞いてみよう!ジェンダーのこと」

第1部 講演

講師:シオリーヌ(大貫詩織)さん(助産師/性教育YouTuber)

講師写真講座の様子


1部は、シオリーヌさんにご登壇いただきました。講演の一部をご紹介します。


ー ジェンダーとは ―

 「どうして助産師で性教育を伝えている私が、ジェンダーについて話をするの?と思われるかもしれません」とシオリーヌさんはお話を始められました。日本では、妊娠や出産、生理など体の仕組みについて勉強することが性教育だと思う方が多いかもしれません。しかし、性教育の基本的な方向性をまとめた国際的な文書「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」には、ジェンダーに関することも性教育の一部であると書かれているそうです。

 ジェンダーとは、社会や文化によってつくられる性差(性別による違い)のことであり、私たちは、女性らしさや男性らしさといった”ジェンダーによる押しつけ”に無意識に縛り付けられている現状があるとお話されました。「男女の賃金格差」や「職業選択におけるジェンダーギャップ」、「家事・育児のジェンダー役割分業」などの実態について、統計データやテレビ等で報じられたニュースをもとに、何が問題なのか、背景にどんなジェンダー意識が隠れているのかを教えていただきました。

 また、友達や家族との関係性など、私たちの身近な問題として「ジェンダー」を考えることができるように、シオリーヌさんが若い世代に向けて作られたドラマを紹介していただきました。


※紹介動画 【性教育ドラマ】ユースクリニックへようこそ - ここは、あなたのための病院です

 第二話「彼氏好みの私?」

https://youtu.be/FYQFLa90OpM


ー 「ジェンダー平等」に欠かせない2つの視点 ―

  次に、「ジェンダー平等」に欠かせない2つの視点について教えていただきました。

1.「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)」について

「SRHR(Sexual Reproductive Health and Rights)」とは、「あなたの身体や人生は、あなただけのもの。あなたの身体や人生について決める権利は、あなた自身にしかない」ということ。生まれたときに割り当てられた性によってジェンダー格差があることは、その人の選べる選択肢を制限しているので、SRHRを侵害していることになります。


2.多様な性のあり方

「SOGI(Sexual Orientation Gender Identity)」とは、恋愛や性的な興味の対象がどのような性別に向くかを意味する「性的指向」や、自分自身がどのような性別だと思うのかを意味する「性自認」などを示します。全く同じ性のあり方を持つ人はいないかもしれません。


ー 今日の気づきを行動に ―

 講演の最後に、どんな性で生きる人も、平等な選択肢を持ち、自分の意志で人生を選び取れる「ジェンダー平等の社会」をつくるためには、まずは、「知ること」「気づくこと」が大事だということをお話しされました。

 シオリーヌさんから、「皆さんにとっては、今日がその日ではないでしょうか。悪意を持って性差別をしようとしなくても、無意識に人の選択肢を制限してしまうことがあります。今日の気づきを行動につなげていきましょう。」とエールを頂き、第1部の講演を終了しました。

第2部 対談「シオリーヌさんに聞いてみたい!」

登壇者:シオリーヌさん×田口香津子(佐賀県立男女共同参画センター館長)

講座の様子講座の様子

 第2部は、シオリーヌさんと田口館長との対談です。今回は、事前に参加者の皆さんから寄せられた、シオリーヌさんへの質問やメッセージを交えながら、「自分らしく生きられる社会」について考えました。

 シオリーヌさんは、自分で経験されたことや実践されていることを含めて、一つ一つ丁寧にお答えいただきました。シオリーヌさんのひなたの様な温かい雰囲気により、会場は終始穏やかな雰囲気に包まれました。

 質問に答えていただく中で何度も仰っていたのは、「相手の代わりに決めない、決めつけない」という言葉でした。「自らも、無意識のうちに思い込んでいることがあるかもしれないので気を付けています」というシオリーヌさんの言葉に、「ジェンダー」は他人事ではなく、自分のこと、家族のことだと改めて考えることができました。また、そのために必要なこととして、「意思決定に必要な情報を事前に提供すること」や「困ったことがあったら相談してねと伝えるコミュニケーション(対話)の大切さ」を教えていただきました。

 会場からも、シオリーヌさんの言葉に「自分で自分を決めつけて、この年になるまで苦しめていたのだということに気づきました」「話し方が心に響き、良く伝わりました」との声がありました。

【参加者の声】(一部抜粋)
  • 多様な生き方と、それを認め合える社会のあり方のこと、包括的性教育のことなど、今まさに知りたいと思うお話を聞くことができてよかった。同時に、今日のお話は、教育関係者や、特に県政、市町自治体の政治に関わる人たちは、別の機会にぜひそのまま学ぶことが必要ではないかと思いました。佐賀県の人工妊娠中絶の人口数あたりの率は、いまだにワースト10の上位ではないかと思います。佐賀の教育のあり方、社会づくりのあり方が、大きく問われていると強く感じます。
  • 現在国会で、同性婚、LGBTQ、夫婦別姓など協議されているので勉強になりました。
  • シオリーヌさんから説得力のある“ジェンダー”についてのお話を聞かせていただいて、あらゆる性別の人が対等に関わることができる社会をつくる必要性を改めて感じました。助産師の専門性を生かした内容に加えて、シオリーヌさんの話し方や表情、考え方など学ぶべきことがたくさんありました。このような機会をつくってくださり本当にありがとうございました。
  • 女性だからこうでなければならないというような、周囲からの言葉にもやもやすることが年齢が上がるにつれて増えてきました。でも、今日のお話を聞いて、もっと自分の気持ちに添った生き方を選ぶことは悪くないのだと肯定してもらえた気がしました。ありがとうございました。
  • シオリーヌさんのお話の仕方、内容、とても聞き取りやすく、心地のいいお声で、有意義な時間でした。途中で流れたムービーも、他の4話をチェックしてみようと思いました。このような性教育のお話で、今までなんとなく、男性が居心地が悪いような空気感があることが多かったのですが、本日はそのようなものはなく、とても心地よかったです。

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