令和2年度市町職員研修を吉野ヶ里町で開催しました
市町の行政における男女共同参画の必要性について理解してもらうため、吉野ヶ里町の職員の皆さんを対象に研修を行いました。吉野ヶ里町では令和3年度からの5年間を計画期間とする「第2次吉野ヶ里町男女共同参画基本計画」を今年度策定されており、はじめに担当課である財政協働課 德安課長より基本計画の概要について説明があり、第1部では講義を、第2部ではパネルディスカッションを行いました。
(令和3年1月29日(金)午前の部:吉野ヶ里町中央公民館 午後の部:東脊振庁舎会議室にて開催)
第1部 講義「男女共同参画の推進からはじまる新しいまちづくり」
講師:アバンセ事業統括 上野景三
男女共同参画社会づくりに取り組んできた国の動きを社会問題と共に振り返りました。「男女共同参画」という言葉が持つ意味やニュアンス、男女共同参画を推進する上での課題や問題が時代と共に少しずつ変わってきており、2014年に「日本創成会議」が発表した通称「増田レポート」では、「消滅可能性都市」が話題となりました。20~39歳の女性の人口が2010~2040年にかけて半減する市区町村のうち、人口一万人未満の自治体は消滅するというもので、女性が働きやすく安心して住み続けられるまちづくりが求められています。一見、「地方創生」と「男女共同参画」は切り分けて考えられがちですが、「男女共同参画」は自治体政策全体に関わる大きなテーマであり、吉野ヶ里町に住み続けたい、戻ってきたいと思われるまちづくりには、男女共同参画の視点が必要だと提言されました。
第2部 パネルディスカッション「私よし・あなたよし・未来よし~これからの吉野ヶ里町を考える~」
パネリスト
吉野ヶ里町男女共同参画基本計画策定委員会
- 副委員長 大隈 登美子さん(JAさが神埼地区女性部理事)
- 委員 八谷 強さん(吉野ヶ里町吉田地区区長)
- 委員 御領原 美代子さん(ノイエ/特定非営利活動法人佐賀県放課後児童クラブ連絡会)
吉野ヶ里町副町長 中島 武子さん
コーディネーター:アバンセ事業統括 上野 景三
研修後半は、「第2次吉野ヶ里町男女共同参画基本計画」の策定委員の3名の方々と、中島副町長にご登壇いただきパネルディスカッションを行い、基本計画へ込めた想いや吉野ヶ里町職員の皆さんへの期待などを語っていただきました。
- 区長に女性がいないので女性の区長を増やしていきたい。区長の仕事の内容の中には、街灯の電球の交換等、女性には難しいというような声もあるが、みんなで協力してやっていけばいいと思う。まずは地域の評議員の女性の割合を高めるところからやっていきたい。
- 核家族化や世帯構成の変化が進み、「ワンオペ育児」という言葉が出てきているように、家族や近所に頼ることができない母親が増えている。また、「産後うつ」など女性の体の変化についての男性の理解もまだまだ少ない。そういったことを理解してもらう場や、困りごとを相談できる場が地域に必要。
- 日本のジェンダーギャップ指数が121位。ヨーロッパなどでは「クオータ制」などを取り入れているように、吉野ヶ里町でも審議会などに、そういった割当制などを導入していってはどうか。また、女性リーダーを育成する研修などを実施してほしい。
- 中島副町長:職員と意見交換をした際に、仕事の内容によって性別が偏っている課があるという意見があった。男性の仕事・女性の仕事と最初から決めつけないで配置ができればよいと思う。また、今日のお話の中でもいろんなご意見をいただき、施策に活かせるヒントがたくさんあった。町全体で男女共同参画の推進に取り組んでいきたい。
- コーディネーター:今回の研修を通してパネリストとしてご登壇いただいた町民の方々の声を聴けたことは、職員の皆さんにとって貴重な時間になったと思う。日頃から町民の声を聴いているかもしれないが、声の大きい人の声しか聴いていないということになっていないか。行政を進めるときに、町民の声の聴き方についても考えていただき、今回策定した基本計画の基本理念である「私よし・あなたよし・未来よし」の実現につなげていただきたい。
参加者の感想
- 男女の平等についての計画という「点」でしか見ていなかったが、自治体の消滅や少子高齢ともつながると分かり、「線」「面」で考えることができた。
- 策定委員の方々の話の中で、地域が抱える問題が認識できた。今まで男性が主で行っていた業務をうまく女性ができる職務へと変えていく方法について考えていきたい。
- 職員の意識を一層高める必要があることを痛感した。
- 「先入観」「固定概念」が、女性参画を阻害していると感じた。まずは、考え方を変えることから取り組みたい。