令和2年度市町職員研修を白石町で開催しました

男女共同参画の視点で考える防災対策~今、私たちにできること~

 市町行政において男女共同参画の必要性を理解してもらうため、白石町の職員を対象に「男女共同参画の視点で考える防災対策~今、私たちにできること~」と題し、研修を行ないました。

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、録画配信で行いました。(収録日:令和2年10月29日/配信期間:12月14日~22日)

 

 講師には、熊本県民交流館パレア館長の藤井宥貴子さんをお迎えしました。藤井さんは、2016年4月の熊本地震で自らも被災し、当事、熊本市男女共同参画センター「はあもにい」の館長として、被災者支援に取り組んでこられました。その経験から、防災になぜ男女共同参画の視点(多様性を認めながらみんなで力を合わせながら、誰一人取り残さないこと)が必要なのかをお話しいただきました。

 


 過去の災害事例の問題点を男女共同参画の視点でみると、次のような事が多く見られるという事でした。

・男性は運営、女性は食事の準備など補完的な役割に充てられる

・少数者意見は棚上げ、後回し ・DV、性被害、性暴力のリスクがある

・避難所運営に女性の視点が活かされていない 等

 

 熊本地震発災後、「はあもにい」には内閣府から「避難所チェックシート」を使って、避難所の環境改善を行ってほしいと連絡があり避難所を回られました。避難所を開設する担当者に男女共同参画の視点があった所は、大きなトラブルもなくチェックシートに記載されている授乳室、更衣室など限られたスペースの中にも用意されていたそうです。しかしながら、そういった避難所は少なかったそうです。

 また、東北の男女共同参画センターの元館長からは、「東日本大震災で性被害にあった方々のカウンセリングを今も続けている。もし動けるのであれば性被害防止の啓発をしてほしい」と言われ、ポスターやチラシを作成して啓発活動を行ったそうです。こういった活動に対し、「不安をあおるな」等のバッシングもあったそうです。数年後に新聞で、熊本地震での性被害は10件という記事が出ていたそうですが、これも氷山の一角ではないかといおっしゃっていました。平時に起こることは非常時にはリスクが高まるため、平時から男女共同参画社会実現に向けての取組がとても重要だと話されました。

 

 被災経験を通して伝えたいこととして、災害多発時代に突入し、まさかの発災はない。男女共同参画の視点で防災をとらえ、自分の身は自分で守り、最悪の状況を想定して、自分事として受け止め備える。また、備えは減災に向けて、情報・モノ・ネットワークで備えることが大切だということでした。

 

 それから「マイタイムライン」の作成を勧められました。マイタイムラインとは、住民一人ひとりの防災行動計画で、台風等の接近による大雨によって河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理し、自ら考え命を守る避難行動のための一助とするものです。

 

 最後に、「平時にできないことは非常時にはできません。私は全国女性会館のネットワークや個人的な友達などのつながりも役に立ちました。平時のつながりを非常時にも活きる仕組みにしてください。いろんなネットワークの中で災害が起きたらお互いどんな役割を果たすのかというところまで落とし込んでおくと、それぞれが災害時にも支援拠点になれます。そういったネットワーク強化や人材の育成にも取り組んでいただけたらと思います。」と呼びかけられました。

参加者の感想

  • 男女共同参画の視点で、防災を考えると、まだまだ問題点があることに気付かされた。平常時にできないことは非常時にできない、「防災・復興のカギは、平常時の男女共同参画社会実現に向けての取組」が心に残った。
  • 映像、体験談がリアルで、心に残る研修でした。結果的にオンライン研修となりましたが、自分の都合に合わせて受講でき、とても助かりました。
  • 実際に災害があった熊本地震から避難所生活での問題点など、具体的に知ることができた。現在では新型コロナ感染のリスクの問題もあるので、さらに大変になることが不安になる。

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