男女共同参画センター
関係する統計データ
平成22年度「国内版GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)」の試算結果について
1 目的
国連開発計画(UNDP)「人間開発報告書」では、各国女性の活躍度を表す指数GEM(ジェンダー・エンパワーメント指数:Gender Empowerment Measure)を用い、順位を発表しています。
『人間開発報告書2009』によると、日本は、GEM測定可能な109か国中57位ですが、先進国の中では著しく下位にあり、世界の中で日本の男女共同参画の推進の遅れを示す一つの有効な指数として注目されています。
国連のGEMの取り組みを参考に、日本国内における佐賀県の男女共同参画の推進状況を測るため、平成17年度に国内版として都道府県別GEMを比較するための試算を行いました。
この報告書は、初年度(平成17年度)に実施した試算を基準にして、最新のデータに基づいてGEM値を算出したものです。
2 試算結果
下記に示している前提条件により試算した結果、今年度の佐賀県のGEM値は0.5618から0.5968へ上昇し、47 都道府県中の順位は36位から31位へと5ランク上がりました。
佐賀県でGEM値が上昇した要因は、市区町村議会議員数EDEP指数は90.5%に減少したものの、その他のすべてのEDEP指数が上昇したことです。
特に県民経済計算県内総生産が増加し、男女間の賃金格差も縮小したことにより、所得EDEP指数は全国2位の約114%の上昇となりました。
また、上昇率の高かった都道府県は、1位 茨城県(8.07%)で、順位は6ランク上昇、2位の福岡県(6.89%)は27位から22位へ5ランクの上昇でした。
また、順位を上げた県は佐賀県を含め19県、下げた県は19県、順位は変わらなかった県は9県でした。なお、上位8位までは昨年と同じ顔ぶれとなりました。
試算結果の表(419KB; PDFファイル)
3 試算のための前提条件
- 国連開発計画の算出方法・算式に合わせ、又は準じて計算すること。
- 使用するデータは、都道府県比較ができるものに置き換えること。
- 客観的に比較測定するために、一般的に用いられる統計データを使用すること。
- 統計データを使用する場合、可能な限り最新版を使用すること。
- 誰が計算しても一貫した結果が得られるものであること。
GEM算出に用いる使用データ比較
指数 | 国連使用データ | 国内版使用データ |
---|---|---|
(1) 国会代表EDEP指数 | 国会議員 | 県議会議員・市区町村議会議員 |
(2) 管理職EDEP指数 | 行政職・管理職比率 | 行政管理職・管理職比率 |
(3) 専門・技術職EDEP指数 | 専門・技術職比率 | 専門・技術職比率 |
(4) 所得EDEP指数 | 賃金・国内総生産額 | 賃金・県内総生産額 |
試算に必要な統計データ
項目 | 資料名称 |
---|---|
人口・就業者数 | 「国勢調査」平成17年総務省 |
県議会議員 | 「地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等(平成21年12月31日現在)」 平成22年3月26日総務省 |
市区町村議会議員 | |
行政管理職 | 「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成21年度)」 平成23年1月14日内閣府男女共同参画局 |
管理職(国勢調査) | 「国勢調査」平成17年総務省 |
専門・技術職(国勢調査) | |
県内総生産 | 「平成19年度県民経済計算」平成22年2月19日 内閣府経済社会総合研究所 |
賃金 | 「賃金構造基本統計調査」平成21年厚生労働省 |
4 今後の取組
佐賀県における男女共同参画施策の評価材料の一つが国内版GEMです。
男女共同参画センターの啓発、調査研究、情報提供、相談等の事業運営に当たって、この国内版GEMを押し上げることも視野に置きながら、特に女性の政策参画や女性のチャレンジ支援等に取り組む必要があります。
※GEMとは、系統的に算出された様々な変数を使い、政治、経済活動領域における女性と男性のエンパワーメント(能力と機会の拡大の程度)を比較測定するものです。具体的には、「男女の国会議員に占める比率」、「男女の管理職に占める比率と専門職・技術職に占める比率」、「男女の推定勤労所得」を用いて算出されています。
国連開発計画(UNDP)「人間開発報告書2009」によると、我が国は人間開発指数(HDI)が測定可能な182か国中10位、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は測定可能な109か国中57位となっています。日本は、人間開発の達成度では実績を上げていますが、女性が政治経済活動に参加し、意思決定に参加する機会が不十分であることがわかります。