アバンセ館長コラム第5号(令和4年8月)

第5号 ダイバーシティとユニバーサルデザイン(令和4年8月)

 ダイバーシティ推進のベースになる環境づくりに不可欠なのが、ユニバーサルデザインだと言われています。ダイバーシティもユニバーサルデザインも、最近、よく目や耳にする言葉です。少し調べてみると、面白い発見がありました。ダイバーシティとは、人材の多様性を意味します。 集団において、年齢・性別・人種・宗教・趣味嗜好など様々な属性を持った人が集まった状態です。多様な人材が活かされ、これまでになかった柔軟で斬新な発想が生み出されることが、社会課題の解決のため、変化の激しい社会で生き残っていくためにも重要とされています。

  一方、ユニバーサルデザインとは、文化・言語・年齢・性別・能力などの違いにかかわらず、できるだけ多くの人が共通に利用できることを目指した建築・製品・情報などの設計(デザイン)を意味します。 高齢者や障がい者のためのバリアフリーという概念よりも、さらに範囲は広く、誰でもが公平に使えることを考慮したものと言えます。

 

   ダイバーシティは、英語で、Diversity と書きます。ユニバーサルデザインは、Universal design と書きます。ダイバーシティとユニバーサルの語源は、同じ 「verse」という「方向転換する・向く」という意味のラテン語から来ているそうです。ダイバーシティのダイは、di:二つの・離れて・バラバラに という意味。ユニバーサルのユニは、uni:一つの・単一の・唯一の という意味です。diuni、実は、反対の意味を表す接頭辞です。

 

 個々の違いを受容する共通の環境設計(ユニバーサルデザイン)があってはじめて、単一の考え方から脱却し、それぞれの個性・多様性を発揮して新たな価値観の創造(ダイバーシティ)が実現するということなのでしょう。 

 

 離れたものを一つにする動き(uni)と一つのまとまりをバラバラにする動き(di)。親和性の高い二つの言葉の語源をたどると、反対の意味を宿しつつも、共鳴しあう哲学的世界を感じます。 

 
 アバンセ館長 田口香津子    プロフィール


 アバンセ館長

   佐賀女子短期大学 学長 (2018.4-2022.3)

 認定NPO法人 被害者支援ネットワーク佐賀VOISS理事長

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