アバンセ館長ルーム

 

    アバンセは、幸せに生きたい県民の応援団です。男女共同参画社会づくりの促進の拠点であり、パートナー間などあらゆる暴力の撤廃の拠点、生涯学習の振興の拠点でもあります。

    館長の仕事は、そんな多様なアバンセの魅力を発信すること。その魅力とは、人との出会いで生まれるものです。この館長ルームでは、アバンセの職員紹介(似顔絵あり)とともに、その折々の出来事を通して感じたことを綴っていきます。ときどき、ふっと道草したくなるような、自在なお気持ちで、館長ルームにお立ち寄りください。


 一緒に働いてもらっている職員を私が描いた似顔絵とともに少しずつ紹介いたします。

  職員紹介ページ(第一弾)

  職員紹介ページ(第二弾)

  職員紹介ページ(第三弾)

  職員紹介ページ(第四弾)

  職員紹介ページ(第五弾)

  職員紹介ページ(第六弾)


アバンセ初代館長の船橋邦子さんと対談しました。

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最新のアバンセ館長コラム第24号                                       公平性って、どういうことですか?(令和6年3月)

  「セクハラ」、「ジェンダー」等、端的で的確な日本語に置き換えられない概念は、そのまま英語発音のカタカナ表記で広がってきた歴史があり、その言葉が日本に定着することで、切り拓かれてきた社会変革があるのを様々な事例から実感しています。例えば、「それは、セクハラです」と言える職場になったことで多くの人権侵害の深刻化を免れたと思います。


    そのうえで、いま流行りの、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)と書いてしまうと、すこしばかり引っかかりを感じます。「社会的成熟の遅れている日本が英語圏文化に追い付こうとする構図」から抜け出せていないような気持ち、というのでしょうか。半ば無意識に、長年にわたって日本固有の文化や価値観を劣位に置いてしまう心性に馴らされていはしないか、すでに持ち得ている日本語表現の素晴らしさにも気づいていきたいと思うからでしょうか。ダイバーシティは、多様性、エクイティは、公平性、インクルージョンは、包括性という日本語に訳されて、ここでは、その意味内容に不足はないようにも思うのです。

ここからは、公平性を例に挙げて、その意味することを会話風に表してみたいと思います。

 

   「たとえばね、160センチの高さの塀の向こうの景色を見たいとき、170センチのAさんは見られるけど、150センチのBさんと130センチのCさんは見ることができない。だから、高さ20センチの台を準備する。どう配ればいいかな?」

「Bさんには、台を1個、Cさんには台を2個。そしたら全員が見ることができるよ。」

「そうだよね。全員に一台ずつ配るのが形式的な平等とすれば、Cさんは一台では景色が見られないままだよね。」

「そうか、Aさんには0個、Bさんには1個、Cさんには2個の台を配るのが、公平なのか。確かに、私たちは、Aさん、Bさん、Cさん、いずれの立場にもなりうる存在だよね。」

「背の高さで可能性が奪われるのではなくて、台の活用で、どんな背の高さにうまれついても、同じスタートラインに立つことができる。もちろん、背の高さはひとつの比喩だよ。個々の適性に応じて支援や調整を行い、偏りをなくすこと。それが、公平であるということだよ。」

「じゃあ、昔は男女同じ面積だったのに、新しい建物では、女性用トイレの面積が広くなったことも公平ってこと?」

「そうだよね。同じ面積(形式的平等)だと、女性用トイレには長い列が出来て、男性用トイレは空いているという状況だったよね。男女どちらに生まれついても、同じ使用時間でトイレが使える、実質的に偏りを失くすのが公平ということになるよね。」

 

   専門用語だからこそ、インパクトがあり、広がっていく一面もありますが、広くみなさんに共感してもらえる伝え方も模索していきたいと思います。

 
 アバンセ館長 田口香津子    プロフィール


 アバンセ館長

   佐賀女子短期大学 学長 (2018.4-2022.3)

 認定NPO法人 被害者支援ネットワーク佐賀VOISS理事長

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