家庭教育支援者リーダー等養成講座(リーダー研修) 第5回報告

リーダー研修 親と子の未来を育むためにできること~家庭教育支援の今を考える~

今年度より家庭教育支援者リーダー等養成講座は、家庭教育・子育て支援に関わる活動経験年数に応じて「支援者養成講座」と「リーダー研修」に分かれて受講できるようになりました。

今回のリーダー研修(活動年数3年以上の方対象)は、様々な経験を重ねてきた支援者の皆さんと、私たちにできる子どもや親の育ちを支える家庭教育支援について共に考え、学び合っていきました。(連続5回講座)

「リーダー研修」のチラシはこちら (975KB; PDFファイル)

第5回「親と子の未来を育む」家庭教育支援            ~私たちの学びをカタチにかえるつながりづくり~

開催日時:2月25日(金)13時30分~16時30分

新型コロナ感染症(第6波)の状況により会場受講とオンライン受講のハイブリッド形式で開催しました。


【講師】宮嶋晴子さん(九州女子短期大学子ども健康学科教授)

講師の宮嶋さん


【講師】上野景三(佐賀県立生涯学習センター事業統括)

上野事業統括


最終回のリーダー研修はこれまでの講座を振り返りながら、それぞれ次の一歩をどう踏み出していくことができるか考えていきました。

前半は上野事業統括のコーディネートでトークセッションを行いました。まずはじめに、約4ヶ月前にスタートした講座のこれまでの要点整理を講師の宮嶋さんにしていただき、参加された皆さんと一緒に学びを振り返りました。


ステージの様子オンライン登壇


続いて参加者を代表して3人の方に登壇いただき、それぞれの立場(保育園、子どもの居場所づくり、地域での多世代交流)から講座を振り返っての話を伺いました。「支援の色んなカタチを知って、視野を広げたかった」「子育ては一向に楽にならないし虐待は増加している。なぜなのか、新しい知識を入れて考えたかった」「子育ての孤立化を解消したいと地域で頑張ってきたが状況は変わらない。次にどう進んだらいいのか悩んでいた」など、それぞれの受講動機も語られ、講座での色々な学び、参加者同士の語り合いから気づいたこと、あらたな疑問やモヤモヤもみつかったことなど多岐に渡るトークが展開されました。

立場は違っても同じ支援者として、これからも親子に寄り添い続け、課題や悩みを一つひとつ乗り越えていきたいという思いが3人の語りから伝わってきました。


トークセッションの最後に宮嶋さんは、子育て支援サービスは年々充実してきているものの『孤立の子育て』は解消できていないという点について「どうしても今の支援は『親の学び』の部分が欠落してしまい、福祉的なサービスにおさまってしまいがちです。だからこそ支援者の皆さんの学びがますます重要になってきます」と述べられ、参加者へ実践と学びの両輪の必要性を呼びかけられました。


ワークの様子パソコン画面

発表の様子発表の様子


後半はグループワークで2つのお題について話し合いました。オンライン受講の皆さんもZoomのブレイクアウトルーム機能を使い、ワークに取り組んでもらいました。

お題1「家庭教育支援者の専門性って何?」

お題2「親の力を引き出す、親の育ちを支えるにはどのような支援者の関わりが必要?」


発表では「お題1の『専門性』って本当に何なんでしょうか?」とその難しさを吐露しながらも、「聞き出す力、つなげる力、寄り添う、安心感を与える」など、グループで話し合った内容が紹介されました。また、お題2の『支援者の関わり』については「親の思いに共感する。顔をあわせて話をする。安心してもらえる場をつくる」など、日ごろの実践をベースに意見が交わされました。


まとめの話


宮嶋さんは家庭教育支援者の『専門性』について「言葉にするのは難しく、目に見えないようなものかもしれません」と述べられ、参加者に向けて「皆さんは無意識に『親の育ち理解』『子どもの育ち理解』この2つの理解<二重構造(2段ケーキのような)>の視点を持って、目の前の親子に寄り添い、支えているのではないでしょうか。その目に見えない専門性をしっかりと持ちながら、上からひけらかすのではなく、そっと下から支える実践に取り組まれています」と言葉を寄せられました。

また、ご自身の実践を交えて『支援者の関わり』を「本当にシンプルなことですが、1.見る(見守る)、2.聞く(絶えず話を聞く)、3.話す(コミュニケーション)が大事で、特にこの順番で関わることが大切です」と、その意味を丁寧に説かれました。


『親の育ち理解』を土台として、その上に『子どもの育ち理解』を重ねる。親子の前で私達の立ち位置は同じ、目線は一緒。こうした支援者としてのスキルを磨き続けていくことの必要性と大事さをあらためて学び合ったワークの時間。そして、「たくさんの仲間の存在を感じることができました」「支援に悩む時は一人ではないことを思い出し、できることをひとつずつ行っていきます」と語られた皆さんの思いから、より良い家庭教育支援を目指して進もうとする、確かな一歩を感じさせられました。

閉講式

修了証交付オンライン受講者への修了証交付閉講式の話


リーダー研修は全日程(連続5回)参加した方に修了証を交付しています。今年度は20名に交付しました。オンラインで参加された方にも画面越しに(受け渡すポーズで)交付を行い、皆で拍手を送り合いながらお互いをたたえあいました。


最後に上野事業統括から参加者に向けて「これから先、もっと多様化する家庭に支援の輪を広げていくには、支援者の皆さん一人ひとりが学び続け、自分自身をバージョンアップさせていくことが大切です。皆さんもそういう思いでこの講座に参加されたのだと思います。一人でも二人でも仲間を増やして『支える力』を育んでください」とエールを送り、今年度のリーダー研修を終了しました。


参加者の皆さんのこれからの活動を応援しています!


講座の感想(アンケートより抜粋)

・支援に悩む時に一人ではないことを思い出し、地域で引き続きできることを行っていきます。

・参加者同士、同じ方向、同じ思い、いろいろな苦悩を分かち合いながら意見交換をすることができました。 あらためて自分を奮い立たせることができました。

・社会を変えることは難しいかもしれませんが、困難を抱える立場の人を、そのまま受け入れることができる人が増えていけばいいなと思いました。

・様々な立場で親子に関わる皆さんと共に学び合えて、本当に有意義でした。今後もつながりあっていきたいです。


トップへもどる