家庭教育支援者リーダー等養成講座

家庭教育支援者リーダー等養成講座第6回報告

今年度の家庭教育支援者リーダー等養成講座のテーマは「Withコロナ親子への支援のカタチを考える」です。日常生活を含む多くの活動が様変わりしたコロナ禍の中では、密や接触を避けるなどの新しい生活様式が求められるなど、その多くがこれまでに経験したことのない事ばかりでした。

それは家庭教育・子育て支援の現場でも同じで、活動に取り組まれている皆さんにとっては模索の一年だったようです。その想いを持ち寄って、みんなと一緒にwithコロナの中での「それぞれの支援のカタチ」を考えていきました。

 

   

 

第6回 Withコロナでの支援のカタチⅢ~リアルとオンラインで心のつながり~

日時:令和32月25日(木) 1330分 ~16時00

講師:山口 ひろみさん(NPO法人唐津市子育て支援情報センター センター長)

事例発表:▪小林 由枝さん(よりみちステーション 代表)

         ▪松永 裕香さん(しゃべり場 代表)

     

今回は、各地で親子や子どもが集うサークルなどの集まる場の開催中止が相次ぐ中、オンラインツールなどを併用し、コロナ禍でもできる方法で支援を続けた2人の事例から学びました。奈良県在住の松永さんをオンラインでつなぎ、小林さんと受講者はリアル会場に集い、受講者にハイブリッド型での支援のカタチを体感してもらいました。

【講師】山口 ひろみさん(NPO法人唐津市子育て支援情報センター センター長)

  


       【事例発表】・小林 由枝さん(よりみちステーション 代表)      松永 裕香さん(しゃべり場 代表)※zoomで登壇

事例発表

最初に、小林さんが取り組まれている「ぼちぼちや」「てくてく」「くむくむ」などの居場所についてお話しいただきました。これらは全て子どもたちの生活圏内にあり、どんな家庭の子どもや若者でも参加OK、参加費無料、親の申込みも無しの居場所です。小林さんは「いつも驚かれるんですが…」と笑いながら「預かる場所ではなく、屋内の公園のような感じで大人による最低限度の見守りの場です」と親の承諾がいらない理由を説明されました。いろんな世代の人たちがごちゃ混ぜに集い、子どもがやりたいことをやりたいだけやる。プログラムも無し、何をしてもいいし、何もしなくてもいい。普段忙しい子どもたちが、目的を持たずに来てもいい、この夢のような場所は、子ども達の間に口コミで広がる人気ぶりです。


小林さんは、コロナ禍の緊急事態宣言下ではさすがに居場所を閉めたものの、つながり続けることを目的とした「おさんぽタイム(1時間程度の散歩)」と「LINEでよりみちクイズ(LINEでクイズを出題)」を毎日開催。また、食材などを提供する中で、それまで気付かなかった厳しい家庭の事情を知ることにもなり、できることを続けようと決めて活動したそうです。子ども達に会えないことで、もどかしい思いがあったりしても利用者からの「会えない時でも小林さんから安心感をもらえていた」との言葉で「自分の活動の確認ができた」と話されました。

さらに「大人の居場所」の参加者からの要望で、オンラインの居場所づくりに一念発起。オンラインでのミーティングの方法を教わり、ネット環境が整っていない人はリアルで会場に集まるというハイブリッド型での開催。今では勉強会などもオンラインで開催し、オンラインの可能性、有効性を実感されています。一方で、リアルに会えた時の安堵感も同時に体験し、対面も大事だと改めて感じたそうです。

小林さんは自身の活動から「小さくても、いろんなタイプの居場所が地域に散りばめられているといい。皆さん自身ができることをやってみてください。場所はなくても、誰かにとっては皆さん自身が居場所となれます」とエールを送られました。

  

    


続いて「私の活動のきっかけも、自分と子どもを軸に活動をしたサークルです」と自己紹介をされた松永さん。スクリーン越しでも明るい人柄が伝わってきます。


松永さんが佐賀県基山町在住の頃に立ち上げた親子の居場所「しゃべり場」の活動の軸は、松永さん自身と「この人を楽しくしたい」という想いだったそうです。その想いが人とつながり、活動の広がりをみせ、現在も基山町の行政や団体が継続されているということでした。

そんな中「コロナ禍だからこそ『しゃべり場』が必要」と考えた基山町の団体が、昨年奈良県へ転居した松永さんへ依頼をしたことで「オンラインしゃべり場」が生まれました。そこに集った人にとって「自分を空っぽにする時間」となるように、雰囲気が伝わりにくいオンラインをカバーするためにトークテーマを設定するなど、いろいろな工夫をされたそうです。

松永さんはしゃべり場で話すことを「自分の言葉として話すことで心の中が整理され、その時の自分の状態を知る。発した言葉が自分の声となって耳に入り、そのままの自分を受け入れることにつながる」と表現されました。参加者が安心して話せる場を作ることで、支援につながっていると実感するそうです。

また、今後はハイブリッド型でリアル会場とオンライン上にファシリテーターを配置し、より居心地の良い場にしていきたいそうです。

最後に、受講者に向けて「活動する中でいろいろな悩みを背負いがちになる支援者こそ、自分自身が安心して話せる場所を持ってください」と、自分自身を大切にすることを訴えかけられました。

 

講師の山口さんも「必要に迫られて使用するようになったオンラインというツールから、活動の見直しや移動時間の削減、感染リスクの軽減などにつながり、スタッフや関係者に時間と気持ちの余裕ができるなど新たな気づきがあった」と話されました。

 ワークショップ

その後受講者は、事例発表を聞いての感想や気づきをグループで話し合い、発表者の小林さんと松永さんへ「ホントのトコロ」を聞いてみました。


    


その一部を紹介します。

Q:よりみちステーションでは子ども達に何かあった時の責任はどうされていますか。

A:小林さん いつも言われます(笑)。大人は何も口を出さないので、子ども達は自分のできる範囲を考えて行動するようになります。ひやひやしながら見守ることはあるが、子どもが自分で考えたことは大きな事故につながりません。 

Q:オンラインは、コロナの心配がなくなった後でも続けていきますか。

A:小林さん 受講者に選択肢が増えて良い効果だったので続けると思う。 

A:松永さん いい手ごたえを感じたので今後も続けていきたい。

Q:資金繰りはどのようにされていますか

A:小林さん 最初は月千円の会費制で始めた。しかし、その千円がハードルとなり来れない子がいる事に気づき無料とした。その後は賛助会員や寄付、オリジナルグッズ販売などで居場所の家賃や光熱費くらいにはなる。 ネット通販でほしいものリストをあげていると、購入して送ってもらえるという取り組みを行った。

A:松永さん 基山町の助成金をもらい、施設代や空調代は支払えた。お菓子代は親から100円。居場所を借りるために地域に溶け込んだ関係性を育むことも大切。


他にも「我が子の子育ては難しい。距離がある子どもたちだからこそ見守りができている」という、小林さんの言葉に受講者は安堵の表情を浮かべたり、「早速、先生方と直接つながりたいです!悩んだ時などご相談できますか?」との声も上がっていました。

最後に講師の山口さんは「二人の事例発表から、変化も学びや気づきとして楽しみ、考えるより行動に移すことが大切です」と伝えられました。


 講座の感想(アンケートより一部抜粋) 


・オンラインでの講習は初めての体験でとても良かったです。オンラインでも「心のつながり」がよく伝わりました。

・この特別な状況(コロナ禍)での可能性など、気づきがあり大変参考になりました。

・コロナ禍でもつながり続けるために大切なことをたくさん学びました。行動力の素晴らしさに感動しました。

・まさに自分が活動したいことで、すぐ行動に移そうと思いました。怖さも半分ありますが頑張ります。

・今後の活動として考えていた内容だったので、具体的に教えていただいてとても参考になりました。

・小さなサークル活動からの具体的な支援の形やつながり方などよく分かりました。

・「子ども達が考えて行動するので大丈夫です」との言葉から、信頼関係が大事で、信じる事が子どもを育てると感じました。とても感銘を受けました

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