令和2年度学生への意識啓発事業を開催しました

なりたい私になるためのライフデザイン

 今年度の学生への意識啓発事業は、西九州大学短期大学部との共催で開催しました。

 今回は、社会の変化や価値観が多様化する現代において、どのように先を見据えて自分の夢や希望を実現していくのかをライフデザインを通して考えました。

大阪教育大学教育学部の准教授で保育学が専門の小崎恭弘(こざきやすひろ)さんに、リモートにて講演いただきました。

講演でお話しいただいた内容を、一部ご紹介します。


なぜライフデザインが必要なのか

 ライフデザインとは、自分の人生を自分で考えて、調べて、いろいろな取り組みをして、決めて、行動するという一連の活動のことです。昔は生き方の選択肢が少なく、なんとなく生きていくことができる社会であったのが、今は社会の変化が早くて変化の幅も大きく、今までの当たり前が当たり前でなくなる時代です。例えば、中学生の髪型や校則の変化、フィルムカメラや写真のアルバムのデジタル化、連絡手段の変化(LINE等)など。また、鎌倉幕府の成立年など学校で習った歴史ですら変わります。

 このように社会が大きく変化する中で、人の生き方や人生の考え方、生活も大きく変化する時代です。何となく生きていくことや、みんなが同じような生き方や生活をすることができづらい時代。だからこそ、一人ひとりの自分らしい生き方や、その人が望む生活や暮らしをめざすライフデザインが必要になります。


人生100年時代の生き方

現代はライフサイクルも変化し、平均寿命や定年も伸びています。『ライフシフト』(リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著)によると、2007年生まれの子どもの半数は107歳まで生きると言われています。このような「人生100年時代」には、これまでと同じ寿命を前提とした勉強や仕事の仕方、また定年についても改める必要があります。今ある仕事が将来なくなったり、また新しく生まれる職業もあり、今は社会に存在しない仕事に就く可能性もあります。そのような中でライフプランを考える意義とは、大きく社会が変化する中で、自分自身の生き方を自分で設計して、主体的に生きて行くことにあります。つまり、ライフプランとは「未来予想図」を描くことです。

 今後の日本は、晩婚化、未婚化、非婚化が進み、子どもが生まれにくい社会になります。そのことによって少子高齢化が加速度的に進行し、人口減少社会になり、労働力、経済力、国際競争力が低下することにより、社会から活力が失われていく。そういう時代には、社会の変化と個人の意思にズレが生じ、なんとなく生きていくことが難しくなります。だからこそ、ライフデザインをしっかりと考えることが大切になってくるのです。

 なぜ、皆さんは勉強をするのでしょうか。いろいろなことを学ぶことは、未来の可能性を広げることです。学ぶことで、得られることや仕事を選ぶことができ、いろいろな考え方や視点、多くの価値観を得ることにつながります。


モデル不在の時代の生き方

皆さんが生きて行くのは、これまでの生き方が参考にならない「モデル不在の時代」です。30年前のモデルは幸せのモデルにはなりません。それは、雇用の変化(終身雇用、年功序列の崩壊)、結婚の変化(晩婚、未婚、非婚、婚活時代)、出産の変化(少子化、非出産、ひとりっ子)、価値観の変化(何でもありで何もない、個人主義と孤立化)と、社会が大きく変化しているからです。

そんな時代だからこそ、自分の人生を自分で決める必要性があります。ライフデザインをするということは、自分の人生の主人公になることです。社会の変化に合わせた多様な生き方をしなければなりません。

モデル不在の生き方は、自由な生き方を容認する社会の構築であり、人生を自ら選ぶことができる社会です。そこには責任も求められ、厳しい側面もありますが、それを引き受けて努力する。その夢と希望のために自ら築き上げていくのがライフデザインです。


 今回は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、参加対象を同短大の幼児保育学科1年生に限定して実施しました。保育士の経歴を持つ小崎さん自身の経験を交えたお話は、将来保育士を目指す学生にとって大変参考になった様子でした。

また、リモートでの講演でしたが、画面越しに学生に質問をされたり、終始学生の反応を見ながら進められ、様々なデータを示しながらユーモアを交えてお話しいただき、臨場感あふれる講演となりました。

 

さらに、県内の他の大学の学生に向けて、12月23日から1月31日まで講演の録画配信を行いました。録画配信では240回再生され、多くの方に視聴いただきました。

講演画像1  講演画像2

【主催】佐賀県立男女共同参画センター、西九州大学短期大学部

【協力】九州龍谷短期大学、佐賀女子短期大学、佐賀大学、西九州大学

(開催日:令和2年11月3日  会場:西九州大学短期大学部中講義室5309、5310)

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