令和2年度「市町男女共同参画担当職員実践研修」を実施しました

 佐賀県立男女共同参画センターでは、アバンセを会場に、県内の市役所や町役場で男女共同参画行政を担当する職員を対象に、年2回の研修を実施しています。今回は、テーマを「男女共同参画の視点を取り入れた防災・復興」としまして、防災担当及び避難所運営担当職員にも参加いただき、実施しました。


 まず、当センター企画員より、「男女共同参画の視点を取り入れた災害時避難所運営の手引き(制作:佐賀県立男女共同参画センター)」と「大規模災害時における男女共同参画センター相互支援システム(運用:特定非営利活動法人全国女性会館協議会)」の情報提供を行いました。


講師写真

 次に、静岡大学教育学部教授/同防災総合センター兼任教員、減災と男女共同参画 研修推進センター共同代表 池田恵子さんより、「男女共同参画の視点を取り入れた防災・復興~過去の災害とリスク削減策の現状から、これからの課題にどう向き合うか~」と題してご講義いただきました。


 池田さんからは、東日本大震災や熊本地震等の大規模災害時の震災対応等の調査結果に基づき、「これまでの災害で何が起こったのか」「どのような対策が自治体等で取り組まれたのか」等、これまでの問題点と現状についてお話しいただきました。過去の災害対応や復興の場面では、女性の声(ニーズ)が届きにくく、女性や子ども、介護が必要な方等が困難な状況に追い込まれたとのことでした。


 例えば、着替えや授乳、下着を干す場所がなかったこと、女性用品の不足等。また、乳児用品や介護用品等の物資が不足したことが報告されているとのことです。また、小さな子どもがいる家庭や介護が必要な高齢者等は、避難所に居づらい状況があるため、車中泊や自宅に留まる傾向がありますが、避難所に避難したくてもできなかった方には、物資が届きにくい状況があったとのお話もありました。


 災害時の対応や支援に女性の視点を取り入れるためには、「支援される立場としての女性」という視点に留まらず、防災に関する施策等の方針決定の場や避難所の運営体制に女性が参画することが重要であり、男女がともに取り組むことで、防災・災害対応・復興の各場面においての男女共同参画の視点による取組が充実していくことを学びました。そして、女性の参画を進めていくためには、「安全の確保」が大前提であると教えていただきました。


 性別・立場による被災者の困難な状況の違い、方針決定の場への女性の参画率の低さ等の問題を学び、その課題解決に向けた取り組みを進めるために必要な視点とポイントを学ぶことができました。


*令和2年10月30日(金)実施

講座の様子
【参加者の声】(一部抜粋)
  • 具体的な例を出され、取り組むべき方向性が明確となった。
  • 性別で困難が違うから男女共同参画の視点が必要だということが、印象的だった。市民に伝える際も、理解を得られやすいと思った。
  • 防災計画策定部局、避難所運営部局と男女共同参画部局の連携の必要がよくわかった。

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