令和2年度「市町男女共同参画担当職員基礎研修」を実施しました

講師写真


 県内の市役所や町役場で男女共同参画行政を担当する職員を対象に、男女共同参画行政に関する基礎的知識を学ぶ研修を実施しました。


 講師には、佐賀大学教育学部 教授 吉岡剛彦さんをお迎えし、「男女共同参画の視点に立った地域づくり」と題してお話いただきました。戦後日本の歴史的過程と、国際的動向から見た日本の現状と課題について考え、課題の解決に向けて、地域での取り組みを考える契機としました。


 吉岡さんから、ジェンダー統計とテレビCMを素材に、ジェンダーの問題を分かりやすくご講義いただき、男女共同参画の基本を学ぶことができました。テレビCMに”男・女、家族”がどう描かれていたのか、そのCMが放映された当時の性別意識やその変化の一端に注目することで、時代ごとの変遷を見ていきました。

 はじめに、母親が料理を作り、父親は食べるだけのCMや、女性だけが家事と育児を行い、その様子を過剰に美化して描くCMなどを視聴しました。人は、メディアから”男は外で働き、女は家を守るべきだ”というような「性別役割分業意識」を助長させる情報にさらされ続けると、その情報が常識化する恐れがあります。情報があふれる現代社会では、メディアの情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、「メディア・リテラシー(批判的読解力)」を高め、情報に接する必要があると改めて学びました。

 最近では、多様性に配慮したCMや、家事や育児の現状を抽象的な言葉で美化するだけではなく、問題意識をもって描くCMも増えてきたとのことでした。

 次に、LGBT(性的少数者)についてご講義いただきました。LGBTとは、同性に(も)恋愛感情をいだいたり、体と心の性別に不一致があるなど、性別に関することで、世の中の多くの人たちとは異なる特徴を持った人たちのことです。性は「男」「女」だけではなく、多様性があります。最近では、全ての人の問題であると認識してもらうために「SOGI」という言葉を使うことが多くなったとのことです。「SOGI(Sexual Orientation & Gender Identity)」とは、”性的指向や性自認は、各人ごとに多様であるし、多様でよい”という意味です。

 個人を「性別」で判断するのではなく、「自分らしくある」ことができるように、多様な意見が尊重・反映される社会が大切であるとまとめられました。


「ジェンダー」とは、女だから/男だからと性別を理由として人の生き方に型枠をはめるような慣習や意識のことです。社会的・文化的に"つくられた"ことなので、作り変えることができます。

*令和2年7月15日(水)実施

【参加者の声】(一部抜粋)
  • 男性の“家庭進出”について、男性の意識は変わってきているが、行動になかなか移せていないことがわかった。このギャップをどう埋めるかが課題。
  • 男か女かという二者択一ではないというのがとても心に残った。
  • 意識の改革が必要と改めて思った。
  • 性別役割分担の認識を取り払い、家庭内でも男女平等にならない限り、仕事での男女平等も実現しない。家庭内の意識から強く変えていく必要がある。
  • 昔批判されたCMがあるにもかかわらず、見方を変えただけで、根本的な意識が変わっていないCMが最近でも作られていることに驚いた。
  • データだけでなく、CMという身近なものから学べるという点がとても良かった。

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