令和5年度生涯学習関係職員実践講座(地域支援編1)報告

佐賀県立生涯学習センターでは、生涯学習・社会教育関係職員に必要な知識や実践力を身につける「生涯学習関係職員実践講座」(基礎編、ステップアップ編、地域支援編 各2回)を行っています。

今年度は「With地域を考える編」と「ICTを活用した学びと情報の伝え方編」の2つのバージョンを、それぞれ 基礎編、ステップアップ編、地域支援編の3回を通して、段階的に深めていく連続型の講座として展開しました。

地域支援編1 With地域を考える編

住民と共に歩む 地域づくり 令和6年1月19日(金)13時30分~16時30分

地域支援編1「With地域を考える編」では、上野景三さん(西九州大学副学長)と村田和子さん(和歌山大学紀伊半島価値共創基幹教授、生涯学習・リカレント教育推進室長)を講師にお招きし、潜在化しがちな地域住民のニーズを見いだし、住民の自発的な地域への関わりに寄り添うために必要な視点や姿勢について考えました。

チラシはこちら (853KB; PDFファイル)

講師写真  講師写真

左:上野 景三 氏≪西九州大学副学長≫  右:村田 和子 氏≪和歌山大学紀伊半島価値共創基幹教授、生涯学習・リカレント教育推進室長≫

村田さんは講義に先立ち、18年間公民館という現場で働いてきたご自身を「公民館に育てられたひとり」と紹介され「その経験を通して、住民と共に歩むとはどんなことかを考えていきましょう」と語りかけられました。

その中で、住民と「共に」歩むことが求められる理由や、如何にして「共に」歩むのかなどの問題提起をされ「人(住民)に関わりその成長過程で自分自身も学び成長する。ひいては人が育ち、地域をつくる学びが介在する」など、基本的な視点を示されました。


講座写真 講座写真 講座写真


講義の中では、貝塚市の取り組みの背景から公民館活動に至るまで、村田さんが関わった多くの事例についてお話しいただきました。

1970年代半ばから基本的人権に則った様々な主催講座が開催された貝塚公民館では、今に続く子育て講座やソーシャルインクルージョンなどの多くの学びの場、市民の自主的な活動やサークルが生まれたそうです。誰もが人と関わり、学びあい、育ちあう仕組みと、それをサポートする職員の視点と姿勢の大切さを伝えられました。また、公民館の歴史や主催講座、現存する団体やグループの系統を図で示しながら、何でも記録することが後に役立つ事と職員の研修の必要性を説かれました。子育てネットワークの中で親の主体性を引き出し促すための「親を運転席に、支援者は助手席に」という村田さんの言葉は、公民館職員の視点に通ずることもあり、多くの受講者の心に響いたことが感想から伺えました。


講座写真  講座写真 講座写真 講座写真 


村田さんの講義に対する疑問・感想を受講者本人が読み上げたものを、アバンセスタッフが動画作成し、上野さんコーディネートのふかぼりTimeの冒頭に視聴しました。受講者全員が互いに疑問・感想を共有したところで、上野さんは受講者に共通していたキーワードを、村田さんに質問しながら紐解かれました。

仕事に対して不安な気持ちを抱く受講者の質問に対し、村田さんがその視点に立って経験上のアドバイスをされたところ、多くの共感を得ていることが見受けられました。


ワークショップでは、講義後に抱いた疑問・感想をもとにグループ内で意見を交わし合い、深め合いました。

立場は違えども似たような悩みを抱えている方もいて、お互いにアドバイスをし合い、大いに盛り上がるグループもありました。その後は明日からの自分にエールを込めて一言メッセージを書き、みんなで頭上に掲げて共有しました。


最後に上野さんは「With地域を考える編」を総括され、村田さんが示された「親を運転席に、支援者は助手席に」の言葉を借りて「住民を運転席に、伴走者である私たち職員は助手席に」と表現され「横に並んで同じ方向を見て、悪路で諦めそうな住民がいたら励まし、いろんな人を乗せてみんなで一緒に考えていきましょう」と締めくくられました。 

村田さんは「私はいつも順風満帆でやってきたわけではありません。それでもずっと考え続けています。それが大事。決してあきらめないで、仲間をつくって繋がりを活かしていくことが、きっと皆さんの大きな機動力になります」と力強いメッセージを受講者に贈られました。


アンケートより(一部抜粋)

  • 共感させられることが大変多かった。明日からの生き方・働き方に活かしたいです。

  • グループワークでの発表は、各自がそれぞれの立場で本気に取り組む姿勢を示していました。
  • 村田先生の経験から話される内容が興味深く、住民による自発的な取組みが組織化する例に驚きました。
  • 日頃悩んでいたことの答えが少し見えた気がします。
  • 今までも気にかけていた「地域からの声を大事にする」ことを再認識しました。
  • 仕事での日々の不安をグループの方に聞いてもらいアドバイスやエールを頂けた。非常に有意義な時間となりました。

トップへもどる