DVとは
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、英語の「domestic violence」の略です。
一般的には、配偶者や恋人など「親密な間柄」にある(あった)男女間で起こる暴力」のことです。「殴る・蹴る」などの身体的な暴力だけでなく、言葉の暴力や脅しの精神的暴力、性的暴力、経済的な暴力なども含みます。
内閣府などの調査によって、被害者の多くが女性であること、子どもたちもさまざまな影響を受けていること等が明らかになっています。
多くの場合、さまざまな形態の暴力が重なり、繰り返し、継続的に行われます。
DV(ドメスティック・バイオレンス)の基礎知識
DVは、身体的な暴力だけではなく、精神的暴力や性的な暴力、経済的な暴力などが複雑にからみあって起こることがあります。
あなたは、次のような経験がありませんか?
身体的暴力
- 平手でうつ
- 足でける
- 身体を傷つける可能性のあるもので殴る
- げんこつで殴る
- 刃物などの凶器をからだにつきつける
- 髪をひっぱる
- 首をしめる
- 腕をねじる
- 引きずりまわす
- 物をなげつける など
精神的暴力
- 大声でどなる
- 「誰のおかげで生活できるんだ」 「かいしょうなし」などと言う
- 生活費を渡さない
- 何を言っても無視して口をきかない
- 実家や友達と付き合うのを制限したり、電話や手紙を細かくチェックしたりする
- 子供に危害を加えるといっておどす
- 人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする
- 大切にしているものを壊したり、捨てたりする
- 外で働くなと言ったり、仕事をやめさせたりする
- 殴るそぶりや、物を投げつけるふりをして、おどかす など
性的暴力
- 見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌をみせる
- いやがっているのに性行為を強要する
- 出産や中絶を強要する
- 避妊に協力しない など
これらの暴力は、ありふれた日常の暮らしのなかに埋め込まれているので、被害者も周囲の人たちも、それを「暴力」と気づくのが難しいのです。
DVは、力の強い者が暴力を使って、自分より弱い立場の人を自分の思うようにコントロールしようとする「支配のパターン」であるといわれています。
DVをなくすためには、正しい知識と非暴力意識の社会内醸成が必要です。
DVは犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害です。
どんな理由があっても、暴力は決して許されるものではありません。
DVの影響は、深刻です
DVの影響は、広範囲に及びます。マスコミなどで、「夫婦関係のもつれ」や「別れ話のもつれ」が殺人事件に発展してしまったということが報道されることがあります。DVは、被害者の尊厳と安全を脅かすだけでなく、「生命」に関わる犯罪なのです。
また、女性の望まない妊娠による人工妊娠中絶は、背景にDVがあることが指摘されており、DVは女性にとって健康問題とも言えるのです。
身体やこころへの影響
身体的外傷:打ち身、あざ、打撲、骨折、やけど、噛み傷、鼓膜が破れた等々。深刻な暴力で死に至ることもあります。
こころへの影響:日常的な暴力によって、頭痛や吐き気、めまい、下痢、嘔吐などの身体的な不調におちいることもあります。無力感、不安感などを訴えたり、うつ状態、心的外傷後ストレス障害(PostTraumaticStressDisorderPTSD)などの症状が出る人もいます。
生活への影響
暴力によるケガや身体症状や精神症状が原因で、仕事が続けられないことがあります。経済的な自立が果たせなければ、いつまでも暴力のある環境に留まり続けなければなりません。
また、DV加害者の中には無職であったり仕事が長続きしなかったりする人もおり、被害者や子どもが精神的にも経済的にも不安定な環境に置かれています。
この状況は貧困として表れ離婚後も続くことになります。養育費が支払われないまま少ないパート収入で子どもを育てている被害者もおり、そのため、子どもが進学をあきらめるなど、子どもの将来に深刻な影響を与えることがあります。その結果、親子共々不安定な職の中で貧困を連鎖させてしまうことも少なくありません。今後、被害者と子どもの貧困問題に対する公的な支援を拡充させる必要があります。
人間関係への影響
日常的な暴力のなかで集中力や気力をなくし、家事や子育てに悪影響が出ることもあります。DVのストレスから「子どもにつらくあたってしまう」こともあります。 日々の暴力の影響により、人間不信におちいり、周囲との関係をうまくつくれなくなることもあります。
「家事や子育てがうまくできない」ことを理由に、暴力がエスカレートする例もあることから、被害者はますます追い詰められ、自分を責めて、孤立していきます。
DVの実態
DVは、特殊な人だけが受ける暴力ではありません。年齢や学歴、職業の有無、障害の有無、国籍の違いなどにかかわらず、暴力の被害を受けていることは、さまざまな調査で指摘されています。また加害者も特殊な人ではなく、職業をもって社会的な活動をしているごく「普通の」人が暴力を振るっていることも、さまざまな調査で指摘されています。
内閣府の調査(平成29年度実施)によると、女性31.3%、男性19.9%が、配偶者からの暴力の被害を受けていると回答しています。配偶者からの暴力を受けたことが「何度もあった」と回答した人は、前回(平成26年)の調査では、女性9.7%、男性3.5%、今回(平成29年)の調査では、女性13.8%、男性4.8%となっており、被害状況に大きな変化は見られず、依然として被害が深刻であることが確認されました。同じ調査で、被害を受けた女性の38.2%、男性の69.5%はどこにも相談していないということも分かりました。
さまざまな調査で明らかになった実態は、「氷山の一角」といえるでしょう。DV被害は、まだまだ潜在化しているのです。
平成30年度、佐賀県の配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV相談件数(結婚していない男女間におけるDV(いわゆるデートDV)の相談件数を含む)は、1,755件でした。佐賀県でも多くの女性がDVの被害に苦しんでいます。
出典:内閣府 男女間における暴力に関する調査報告書
パートナーのことを「怖い」と感じているようならDVの被害を受けている可能性があります
DVをみつけるための5つの質問
- パートナーから、自分の気持ちを傷つけられたと感じたことがありますか?
- パートナーはこれまでに、あなたを叩いたり、蹴ったりしてあなたを傷つけたことがありますか?
- あなたは、パートナーのことを「怖い」と感じたことがありますか?
- パートナーが、あなたを「コントロールしようとしている(思うようにしようとする)」と感じたことがありますか?
- いろいろなことで2人の意見が合わないとき、パートナーはどうしますか?
佐賀県DV総合対策センター (アバンセ内)
〒840-0815佐賀県佐賀市天神三丁目2-11
TEL:0952‐28-1492
FAX:0952-25-5591
Mail:dv@avance.or.jp
※メールによるご相談はお受けしておりません。 (ご相談窓口はこちらをご覧ください)